日本酒に飲み慣れていない方だと、「ツンと鼻をさすようなアルコール臭がする」「独特の香りが苦手」などと感じることも多いのではないでしょうか。
そこでおすすめなのが、甘口の日本酒。やさしい口当たりで、日本酒初心者でも飲みやすいです。
今回は、甘口の日本酒とはどういうものなのか、甘口の日本酒を選ぶポイントと楽しみ方についてご紹介します。
甘口の日本酒とは
日本酒の「甘口」とはよく耳にしますが、具体的にどういうものを指すのでしょうか。一般的に「甘口の日本酒」とは、「糖分の多い日本酒」を指します。単純な甘さだけでなく、麹の酵素や発酵由来の旨味も感じられ、奥行きのある味わいです。
実は「甘口」「辛口」の基準は、純米吟醸酒や純米酒など特定名称による分類とは異なり、法的な区分ではありません。「精米歩合70%以下なら本醸造酒」というような明確な基準は存在せず、あくまで消費者が日本酒の味わいをイメージしやすいように、生産側・販売側が独自で判断したものです。
そのため甘口・辛口というのは飲む人によって感じ方が異なり、ある人にとっては甘口でも別の人には辛口に感じられることもあります。
甘口の日本酒を選ぶポイント
では、甘口の日本酒を選ぶには何を基準にしたら良いのでしょうか。ここでは、甘口の日本酒を選ぶポイントを見ていきましょう。
日本酒度で選ぶ
日本酒の甘口・辛口を示す指標となるのが、日本酒のラベルに記載されている「日本酒度」です。日本酒度とは、水に対する日本酒の比重を表した数値です。
糖分などを多く含んだ日本酒は水よりも重いため、日本酒度の数値はマイナスになります。逆に糖分が少ないと水よりも軽く、数値はプラスになります。つまり、日本酒度の数値がマイナスになるほど甘口に、マイナスになるほど辛口に感じられる傾向があります。
目安として、アルコール度数が同じ場合は日本酒度-3.5から -5.9が「甘口」、-1.5から-3.4が「やや甘口」、+1.5から+3.4が「やや辛口」、+3.5から+5.9が「辛口」とされます。
アルコール度数で選ぶ
日本酒度だけでなく、アルコール度数も日本酒の味わいに深く関わる要素です。一般的な日本酒のアルコール度数は15度前後であり、アルコール度数が低いほど甘口に感じられる傾向があります。
その理由は、甘口の日本酒の製造工程によるものです。アルコール度数が低いということは、アルコール発酵が抑えられており、日本酒の中に米の甘味が豊富に残っていることを意味します。
甘口に分類される日本酒はアルコール度数が5~12度程度と幅広く、より甘口のものを選ぶならなるべくアルコール度数が低いものを選ぶと良いでしょう。
お米の種類でも味わいが変わる
日本酒は米を主原料として造られるお酒です。使われる米の種類によっても、味わいに違いが生まれます。辛味が少ない「美山錦」や、まろやかな風味の「山田錦」などを使ったお酒は、甘口になる傾向があります。反対に「五百万石」を使うと、キレが良くすっきりとした味わいの淡麗辛口に仕上がりやすいです。
甘口の銘柄が多い日本酒
甘口の銘柄が多い日本酒として、「純米酒」があります。純米酒は、米・米麹・水のみのシンプルな原料で造られた日本酒です。醸造アルコールを使用していない分糖分が多く、米本来の甘味や旨味、深いコクを楽しめます。口当たりがマイルドでやさしく、日本酒初心者の方にもおすすめです。
また「純米吟醸酒」「純米大吟醸酒」にも甘口のものが多いです。お米由来の甘味だけでなく、特有のフルーティーな香りも楽しめます。
「火入れ」と呼ばれる加熱処理を行わずに出荷される「生酒」は、フレッシュでさらりとした甘味が特徴です。長時間熟成させて造られる「古酒」は、バニラやキャラメルのような濃厚な甘味を感じられます。
甘口の日本酒と相性の良い料理
甘口の日本酒と合わせるなら、同じようにみりんや砂糖を使った甘い味付けの料理がおすすめです。タレの焼き鳥、豚の角煮、すき焼きなど、甘くて濃い味付けの料理と合わせることで、お互いを引き立てあいおいしく楽しめます。
また日本酒の甘味には料理の酸味を穏やかに感じさせる効果があるため、酸味のある料理と合わせるのもおすすめです。酢豚のように酸味のある中華料理やなますなどと合わせると、調和のとれた味わいになります。
初心者でも飲みやすい甘口の日本酒
今回は、甘口の日本酒とはどういうものなのか、甘口の日本酒を選ぶポイントと楽しみ方についてご紹介しました。
甘口の日本酒と一口にいっても、明確な基準があるわけではないため、その味わいはさまざまです。ラベルに記載されている日本酒度や銘柄を参考にしつつ、好みの味わいを見つけてみましょう。