「テイスティング」と聞くと、ソムリエや”通”の方がやるような本格的なものをイメージする方は多いでしょう。テイスティングができると、日本酒への理解が深まり、日本酒選びがもっと楽しくなること間違いなしです。
そこで今回は、日本酒のテイスティングとはどういうものか、初心者でもできるテイスティングのチェックポイントと注意点についてご紹介します。
日本酒のテイスティングとは
そもそもテイスティングとは、ワインやウイスキー、コーヒー、日本酒などの味を鑑定することです。色や香り、味わいなどから特徴を分析し、言葉で表現します。
日本酒では「利き酒」とも言います。もともとは蔵元が出荷前に日本酒の品質をチェックするために行っていた検査でした。しかし近年では日本酒の種類が多様化したこともあり、一般の方にも日本酒の楽しみ方としてテイスティングが広まっています。
愛飲家の中には、一般社団法人日本ソムリエ協会が主催する「SAKE DIPLOMA(酒ディプロマ)」や、テイスティングの試験が行われる「唎酒師(ききさけし)」の資格を取得する方もいます。
日本酒のテイスティングのチェックポイント
日本酒のテイスティングのチェックポイントは、主に以下の3つです。
- ・見た目
- ・香り
- ・味わい
ここでは、それぞれの項目について詳しく見ていきましょう。
見た目
日本酒をグラスに注いだら、まずは色合いや色の濃淡をチェックしてみましょう。日本酒といえば無色透明な液体をイメージするかもしれませんが、実は日本酒の特徴は色合いにも表れています。
搾りたての日本酒はかすかに黄色や緑がかった色をしています。やや青っぽくクリアなものは若くて淡麗なお酒、色が濃いものは芳醇でコクがあるお酒、黄金色のものは熟成が進んでいてしっかりとした旨みがあるお酒が多いです。
日本酒の色合いは、透明なグラスであれば背後に白い紙をあててみると分かりやすいです。発泡性の日本酒では、粒の大きさや量、泡の持続性などにも注目しましょう。
香り
目で見た目をチェックした後は、すぐに口に含まず香りを感じます。
日本酒の香りには、フルーティーな香りやさっぱりと爽やかな香り、お米由来のふくよかな香りやドライフルーツのような芳醇な香りなど、幅広い種類があります。
それらを感じ取り、身近なものに例えてみると分かりやすいです。たとえばりんごやバナナ、メロンなどの果物や、柑橘系の香り、ヨーグルトのような香りのものもあります。
味わい
いよいよ日本酒の味わいをチェックしていきます。少量を口に含み、とろみやなめらかさなどの舌触り、テクスチャーを確認しましょう。
その後舌全体に日本酒をいきわたらせ、甘味、酸味、旨味、苦味の4つの味わいをチェックします。まず甘味の強弱を感じ、4つの味わいのバランス、口の中での味わいの変化、後味などをじっくり確かめてみましょう。
また舌の上で日本酒を転がし、鼻からゆっくり息を吐いたときに広がる余韻の香りも確認します。日本酒では、鼻を近づけたときに感じる香りを「上立ち香(うわだちか)」、鼻から息を吐くときに抜ける香りを「含み香(ふくみか)」や「アフターフレーバー」と言います。
日本酒をテイスティングする注意点
日本酒をテイスティングする際は、まず日本酒を正しく保管することが大切です。
日本酒は紫外線や温度に弱く、これらの影響を受けると色や香味が変化しやすいため、未開封の日本酒は風通しのよい涼しい場所で保管しておきます。また 栓を開けたら風味の変化が急速に進むため、本来の味わいでテイスティングを楽しむには開けたばかりの日本酒がおすすめです。
テイスティングをするなら、日本酒の温度は約18~20度のいわゆる「常温」が最適とされています。日本酒本来の香りや味わいを感じ取りやすくなります。
また、適切な器を選ぶのもポイントです。日本酒のテイスティングでは白磁製の「きき猪口(ちょこ)」が使われることが多いです。白地で底に青い二重丸が描かれており、日本酒の色合いや透明度をチェックしやすいです。
透明なグラスも無味無臭で日本酒本来の味わいが分かりやすく、色合いも確認しやすいためテイスティングに向いています。
テイスティングで楽しむ奥深い日本酒の世界
今回は、日本酒のテイスティングとはどういうものか、初心者でもできるテイスティングのチェックポイントと注意点についてご紹介しました。
テイスティングはなんだか難しそうに感じるかもしれませんが、実はポイントさえ抑えれば初心者でも簡単にできます。見た目や香り、味わいから日本酒それぞれが持つ繊細な魅力を感じ取ることで、日本酒の楽しみがより広がるでしょう。