日本酒を口にすると、お米を感じさせるふくよかな旨みとコクが広がります。この旨みやコクのもととなる成分が、アミノ酸です。
今回は、アミノ酸とはどのような成分なのか、その効果とアミノ酸を多く含む日本酒についてご紹介します。
日本酒に含まれるアミノ酸とは
アミノ酸と一口に言っても、その種類は非常に多岐にわたります。自然界には、約500種類のアミノ酸が存在していると言われています。
このうち人間の身体のタンパク質を構成するアミノ酸は、20種類です。その中で体内で合成できない9種類のアミノ酸は「必須アミノ酸」、体内で作る合成することができる残りの11種類は「非必須(可欠)アミノ酸」と呼ばれます。
必須アミノ酸は、食事から摂取する必要があります。日本酒に含まれるアミノ酸は全部で7種類です。必須アミノ酸であるバリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジンに加え、プロリン、アルギニン、アラニンなどのアミノ酸が含まれます。これらのアミノ酸は日本酒の製造過程で自然に作られ、日本酒のコクや旨みのもととなります。
日本酒のラベルを見ると「アミノ酸度」と言う記載があることがあります。アミノ酸度とは、日本酒に含まれるアミノ酸の量を示す数値です。一般的に、アミノ酸度が高いほどコクを感じられ、芳醇で濃厚な味わいになります。低いほどさっぱりとしたキレのある味わいを感じやすいです。
しかし日本酒の味わいはアミノ酸だけでなく、日本酒度や酸度などさまざまな要素が絡み合って作られます。味わいを判断するひとつの目安として考えると良いでしょう。
アミノ酸の効果
日本酒のコクや旨みのもととなるアミノ酸ですが、ほかにはどのような効果があるのでしょうか。ここではアミノ酸の効果について見ていきましょう。
アミノ酸の主な役割は、タンパク質を作ることです。タンパク質は、筋肉や消化管、内臓、血液中のヘモグロビン、髪や皮膚のコラーゲンなど身体の重要な組織を構成します。人間の身体は約60%が水分で、約20%がタンパク質でできています。つまり人が生きていく上で、アミノ酸は欠かせない重要な栄養素なのです。
また、アミノ酸の種類によってもさまざまな役割を担います。たとえば日本酒に含まれるバリンは、疲労回復やお肌のハリを保つ効果があると言われています。ロイシンやイソロイシンは運動をするときに筋肉のエネルギー源となり、筋肉を大きくしたり回復させたりします。
非必須アミノ酸のプロリンは、コラーゲンを作るために重要なアミノ酸のひとつです。体内でコラーゲンを合成し、関節の動きをスムーズにしたりお肌の健康を保ったりするのに役立ちます。
アミノ酸を多く含む日本酒
では、アミノ酸を多く含む日本酒にはどのようなものがあるのでしょうか。日本酒に含まれるアミノ酸は、原料である米と麹に含まれる麹菌が発酵する過程で生まれます。そのため日本酒に使われる米が多ければ多いほど、発生するアミノ酸も多くなります。
醸造アルコールを一切添加せずに米、米麹、水のみで造られる「純米酒」は、アミノ酸の含有量が多いです。一方、精米歩合の低い日本酒はタンパク質が多く含まれる米の表面部分を削って作られるため、アミノ酸度が低い傾向にあります。精米歩合の低い日本酒には、大吟醸酒、純米大吟醸酒などがあります。
日本酒のコクと旨みを作り出すアミノ酸
今回は、アミノ酸とはどのような成分なのか、その効果とアミノ酸を多く含む日本酒についてご紹介しました。アミノ酸は、人間の身体にとって必要不可欠であり、健康維持だけでなくアンチエイジングや美肌効果も期待できます。日本酒にとってはコクの旨みのもととなる重要な成分です。アミノ酸度によって日本酒の味わいも異なるため、飲み比べて違いを感じてみてください。