食料品のパッケージを見ると、ほとんどのものには賞味期限か消費期限のどちらかが記載されています。
しかし、日本酒にはどちらの記載もありません。手元にある日本酒をいつまでおいしく飲めるのか、悩む方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、日本酒の劣化のサインと、正しい保管方法についてご紹介します。
日本酒は腐るもの?
賞味期限や消費期限の記載がないと、「日本酒は腐らないのでは?」と疑問を感じるかもしれません。日本酒は比較的アルコール濃度が高いお酒のため、アルコールの殺菌作用で腐ることはありません。
そもそも日本酒をはじめとしたお酒に賞味期限や消費期限の記載がないのは、酒税法の定めによりこれらの記載義務がないためです。
日本酒のラベルに印字されるよう定められているのは、「製造年月」です。よく賞味期限と混同されがちですが、製造年月は「日本酒が容器に詰められて出荷準備が整った時期」を指します。
日本酒は発酵食品なので、時間と共に瓶の中で発酵が進み、味わいや香りが変化します。腐ることはないものの、長く放置したり保管状態が悪かったりすると劣化することはあります。本来の味わいを楽しむには、正しく保管して、開封後は早めに飲み切ることが大切です。
日本酒の劣化のサインとは
賞味期限は「品質が変わらずにおいしく食べられる期限」、消費期限は「安全に食べられる期限」をそれぞれ指し、飲食物の劣化を知る目安となります。このような目安のない日本酒は、どのように劣化しているかを見極めるのでしょうか。分かりやすいサインは、「色」「香り」「味わい」です。
日本酒は本来、透き通った透明な色をしているものが多いです。しかし劣化すると、黄色や茶色っぽい色に変わっていきます。
これは日光や紫外線、熱によって、日本酒に含まれる糖とアミノ酸が化学反応を起こし変色するためです。変色しただけでは飲んでも健康上に問題はありませんが、本来の日本酒の味わいとは変わってしまっていることが多いです。
また注いだ時に白濁しているものも、劣化している可能性が高いです。
劣化した日本酒は、酸味が強まったり苦みや辛みが強くなったりと、本来の味わいから変化します。これは、空気による酸化が原因です。
劣化すると、香りも変化します。お米由来のふくよかな香りは日本酒の大きな魅力ですが、劣化するとたくあんのような酸っぱい匂いがすることがあります。このような匂いは「老香(ひねか)」と呼ばれ、日本酒を高温で長時間保管していると発生しやすいです。
不快な異臭が強い場合や舌触りに違和感がある場合は、飲まない方が良いでしょう。
劣化を防ぐ正しい保管方法
では劣化を防いでおいしく日本酒を楽しむには、どのように保管したら良いのでしょうか。
日本酒は醸造酒の中でも特に紫外線に弱いと言われており、紫外線や光に晒されることで色や風味が変化しやすくなります。紫外線や光を避けた環境で保管するようにしましょう。青色紫外線が特に有害と言われており、白色の蛍光灯やLEDの光に長時間晒さないように注意が必要です。
また高温多湿の環境を避けて、風通しの良い場所に立てて保管することも重要です。このように正しく保管していても、開封後は熟成が進みやすく、劣化しやすいです。冷蔵保存して、早めに飲み切るようにしましょう。冷蔵保存だと、品質が変化しづらく、風味や香りを維持しやすくなります。
日本酒の正しい保管方法は、種類によっても異なることがあります。悩んだ時は、日本酒のラベルをチェックすることも大切です。
日本酒の本来の味わいを楽しもう
今回は、日本酒の劣化のサインと、正しい保管方法についてご紹介しました。せっかくのおいしい日本酒は、風味や色合いが変化する前に本来の味わいを楽しみたいもの。正しく保管して、おいしいうちに飲み切りましょう。