黒い見た目と深いコクのある味わいが特徴的な「黒ビール」。黒ビールと一口に言っても、実はさまざまな種類があるんです。
中でも近年人気が高まっているのが「スタウト」。
今回は、スタウトビールとはどんなビールなのか、スタウトビールの種類や楽しみ方などについてご紹介します。
スタウトビールとは
「スタウト(Stout)」は英語で「強い、頑強な、どっしりとした」という意味があります。ロンドンのパブで考案された「ポーター」というビールの改良版が起源と言われており、ポーターよりもアルコールを強化して造られました。
本来は上面発酵でつくられるビアスタイルですが、日本では法律上、上面発酵である必要はありません。「濃色の麦芽を原料の一部に用い、色が濃く、香味の特に強いビール」がスタウトとして定められています。
じっくりとローストした麦芽を原材料に使っており、香ばしいナッツやチョコレート、コーヒーのような独特の香りがします。その名の通り、力強い麦の旨味と深い苦味が特徴のビールです。アルコール度数は7~12%と高めのものが多く、濃厚な味わいです。中には木樽で熟成されているものもあります。
スタウトビールの種類
スタウトは世界各国でさまざまなアレンジが加えられ、独自の発展を遂げてきました。現在ではスタウトの中でも、多種多様なものがあります。ここではスタウトビールの種類について見ていきましょう。
黒ビールの代名詞ともいえる定番のスタウトが「ドライスタウト」です。黒く焦げるまで焙煎した「ローストモルト」を使用しており、香ばしいコーヒーの香りと強い苦味が特徴です。白くてキメの細かい クリーミーな泡が立つため、なめらかな口当たりを楽しめます。
「ミルクスタウト」は、原料に乳糖(ラクトース)を加えて作られるスタウトです。「ミルク」と言っても牛乳を使っているわけではないため、液体の色は他のスタウトと変わらず深い黒色です。乳糖由来のまろやかな甘味とクリーミーな口当たりが、スタウト特有の苦味とバランスよく絡み合い、深い味わいを生み出します。
より甘さを強調したスタウトは、「スウィートスタウト」と呼ばれます。カカオやチョコレートを思わせる濃厚な香りと甘味が特徴で、アルコール度数は5%程度のものが主流です。
「オイスタースタウト」は、カキエキスを加えて作られるスタウトです。19~20世紀前半のイギリスでは、オイスターが安価で手に入りやすく、また美食家の間でオイスターとスタウトの組み合わせが流行していました。そこで考案されたのがオイスタースタウトです。オイスター由来の海の香りがほのかに漂う、深みのある味わいが特徴です。
スタウトビールの楽しみ方
スタウトビールはキンキンに冷やさず、11~15℃くらいの高めの温度で飲むのがおすすめです。芳醇な味わいと香りをより引き立てて、存分に堪能してみてください。
力強い味わいのスタウトビールは、さまざまな料理とのペアリングを楽しめます。特にステーキや焼肉などの肉料理、カレーやビーフシチューなど味の濃い料理との相性が抜群です。
スタウト特有のコーヒーやチョコレートのような香ばしい味わいは、スイーツともよく合います。ティラミスやチョコレートケーキ、ブラウニーなど、濃い味のスイーツと合わせると良いでしょう。甘味の強いスウィートスタウトは、アフォガードのようにバニラアイスにかけて食べるのもおすすめです。
力強く濃厚なスタウトビール
今回は、スタウトビールとはどんなビールなのか、スタウトビールの種類や楽しみ方などについてご紹介しました。香ばしい香りと深みのある力強い味わいが魅力のスタウトビール。クラフトビールが流行している今、各メーカーでは原料や製法に工夫を凝らし、個性豊かなビールを製造しています。