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バラエティ豊かに楽しめる。クラフトビールの種類と選び方


普段何気なく口にしているビールですが、実は世界には100を超える種類のビールがあることをご存じでしたか?

日本で流通しているビールの種類はそれほど多くないものの、近年ではクラフトビールがブームとなり、世界中のさまざまな味を味わえるようになりました。

そこで今回は、バラエティ豊富なクラフトビールの種類と選び方についてご紹介します。

 

ビールの種類

ビールは製法によって、大きく「エール」と「ラガー」の2つの種類に分類されます。双方とも麦芽、ホップ、酵母、水を主な原料として、基本的な製造工程にも大きな違いはありません。エールとラガーの違いは、発酵のさせ方です。

発酵とは、酵母菌などの微生物が麦汁中の糖分を、アルコールと二酸化炭素に分解する生化学反応のことを指します。ビール造りにおいて欠かすことのできない重要な工程です。ここでは、それぞれの特徴を解説していきます。

エール

エールは、古くから続くビールの作り方である「上面発酵」という方法で作られます。「エール酵母(上面発酵酵母)」を使って、常温に近い温度で3〜4日間かけて発酵し、その後約2週間かけて熟成させます。

エールビールは、豊かな香りと深みのあるフルーティーな味わいが特徴です。原料の幅が広く、熟成期間が短い分効率よく製造できることから、クラフトビールメーカーでは多種多様なエールビールが作られています。個性豊かなエールビールから好みの味わいを見つけたり、料理に合わせて選んだりとさまざまな楽しみ方ができます。

ラガー

ラガーは、中世以降に始まった作り方である「下面発酵」という方法で作られます。「ラガー酵母(下面発酵酵母)」を使って、5度前後の低温で7〜10日かけて発酵し、その後約1ヶ月かけて熟成させます。

ラガービールは、喉越しが良くスッキリと爽快な飲み口が特徴です。低温で発酵させるため雑菌が繁殖しづらく、常に品質を一定に保てることから、日本で流通している大手メーカーのビールにはラガービールが多いです。

 

「エール」に分類されるクラフトビールとは

エールに分類されるクラフトビールでは、「ペールエール」が代表的です。ペールエールは、イギリスのバートン・オン・トレントという町で生まれた伝統的なビールです。ペールは英語で「淡い」という意味で、その名の通り薄めの色合いと、ホップやモルトの豊かな香りが特徴です。

ペールエールはアメリカにも渡り、「アメリカン・ペールエール」が誕生しました。アメリカ産ホップの特徴である柑橘系の香りとやや強い苦味が活かされたアメリカン・ペールエールは、世界的に大人気となります。

「IPA」はインディア・ペールエールの略称で、インドがイギリスの植民地だった18世紀に、インドに滞在するイギリス人にペールエールを輸送するために生まれました。品質劣化を防ぐために防腐剤の役割を持つホップを大量に投入しており、通常のペールエールよりもホップの香りと苦味が強いのが特徴です。

通常ビールの麦芽は大麦を発芽させたものを使いますが、クラフトビールには小麦の麦芽を使った種類もあります。「ヴァイツェン」は50%以上の小麦麦芽を使ったドイツのビールです。白ビールとも呼ばれます。ホップの苦味をほとんど感じない、バナナのようなフルーティーな香りとが特徴です。

 

「ラガー」に分類されるクラフトビールとは

ラガーに分類されるクラフトビールで代表的なものは「ピルスナー」です。19世紀にチェコのピルゼンという町で生まれ、今では世界中で最も広く普及しています。

世界で飲まれるビールの内7割を占めるといわれており、日本で流通しているビールもほとんどがこのピルスナーです。アルコール度数は低めで、ゴクゴクと飲める喉越しの良さとホップの苦みが特徴です。

黒い見た目のクラフトビールと言えば、ドイツ語で黒という意味を表す「シュヴァルツ」が有名です。黒くローストした麦芽で作られ、香ばしく甘みのある味わいが特徴です。喉越しが良くすっきりと飲めます。

少し変わったクラフトビールを楽しむなら、おすすめなのが「ラオホ」です。ドイツ語で煙を意味する名の通り、ブナの木などで燻製した麦芽を使って作られます。 色は少し薄めのブラックで、スモーキーな風味にほんのりと甘味が加わった独特な味わいを楽しめます。

 

バラエティ豊かなクラフトビールの世界

今回は、クラフトビールの種類と選び方についてご紹介しました。多様性のある味わいを楽しめるのは、クラフトビールならではの魅力。製法や使われる素材によって、見た目も風味も大きく異なるため、飽きずに楽しめます。