2023年10月から実施された酒税改正で増税となり、最近よく耳にするようになった「第三のビール」という言葉。「ビールや発泡酒とどう違うのか、具体的によく分からない……」という方も多いのではないでしょうか。今回は、ビール・発泡酒・第三のビールそれぞれの定義と特徴、「第三のビール」が生まれた背景についてご紹介します。
ビール・発泡酒・第三のビールそれぞれの定義
ここでは、ビール・発泡酒・第三のビールそれぞれの定義について見ていきましょう。
「ビール」とは
一般的にビールとは、麦芽・ホップ・水を原料として、酵母を加えて発酵させたお酒のことを指します。日本では酒税法によって明確な定義が定められており、アルコール分が20度未満で下記を満たすものがビールとして認められます。
- ・麦芽比率50%以上
- ・副原料の重量が使われている麦芽の5%以内であること
副原料には使用できるものが定められていて、麦、米、とうもろこし、こうりゃん、ばれいしょ、でんぷん、糖類などがあります。2018年の酒税法改正ではこれまで使用できなかった果実、果汁、香辛料などの副原料も使用が認められ、バラエティーに富んだビールが造られるようになりました。
「発泡酒」とは
発泡酒も、酒税法によって明確に定義されています。下記に当てはまるものが発泡酒です。
- ・麦芽比率50%未満
- ・麦芽比率が50%以上の場合、ビールでは使用できない副原料が使われているもの
- ・麦芽比率50%以上の場合、規定量を超えて副原料が使われているもの
発泡酒はビールと異なり、副原料の種類や量に制限がないため、より幅広い香りや味わいの商品を造ることができます。
税額は麦芽使用率によって異なり、「50%以上」「25%以上50%未満」「25%未満」の3つの区分があります。発泡酒であっても麦芽比率が50%以上のものは、ビールと同じ酒税がかかります。それ以下のものはビールよりも税額が安いため、麦芽を使用したお酒をコスパ良く楽しみたい方にはおすすめです。
「第三のビール」とは
ビールや発泡酒に分類されない酒類で、アルコール分が10度未満で発泡性のあるものが「第三のビール」です。「新ジャンル」とも呼ばれます。第三のビールの中でも大きく2つに分けられます。
ひとつは、「その他の醸造酒」に分類される麦、麦芽を原料としていないもの。もうひとつは、「リキュール類」に分類される麦芽比率50%未満の発泡酒と麦由来のスピリッツを合わせて造られたビールテイストのお酒です。
どちらも原料や製造方法はビールとは異なるものの、ビールのようなおいしい味わいを手軽に味わえることが魅力です。リキュール類に分類されるものは飲み口が軽いものが多く、ビール特有の苦味や飲み口が苦手な方にはおすすめです。
「第三のビール」が生まれた背景
では、「第三のビール」はどのようにして生まれたのでしょうか。2003年、酒税法の改正により、それまで売れ行きを伸ばしていた発泡酒の税額が引き上げられました。
そこでサッポロビールは、あえて麦や麦芽を使わず、酒税法上は「雑酒」に含まれるビールテイストのお酒を造ることで価格を引き下げました。2003年9月、新ジャンルの「ドラフトワン」を一部地域で発売し、翌年2月には全国で発売。発売直後から大きな注目を集め、大ヒット商品となりました。他のビールメーカーも次々と新製品を販売し、「第3のビール」は新たなカテゴリーとして定着しました。
手頃に楽しめる「第三のビール」の魅力
今回は、ビール・発泡酒・第三のビールそれぞれの定義と特徴、「第三のビール」が生まれた背景についてご紹介しました。2023年10月の酒税改正では税額が引き上げられ、発泡酒と同様になったものの、まだまだビールと比較すると安価なことに変わりありません。手頃でおいしい第三のビールは、今後も人々に愛されていくでしょう。