日本酒と一口に言っても、その味わいや香りは非常に多岐にわたります。地域ごと、蔵ごとに表れるさまざまな日本酒の個性を楽しむのも、日本酒の楽しみ方のひとつです。
今回は、個性豊かな日本酒の魅力と、「個性」と「クセ」の境界線、個性の強いおすすめの日本酒、その楽しみ方についてご紹介します。
個性豊かな現代の日本酒
米や水などの原料、精米歩合や酵母、麹、製造方法、生産される土地によって、日本酒の個性は大きく変化します。
全国各地の蔵元の努力やライフスタイルの変化に伴い、日本酒の味わいはますますバリエーション豊かになってきました。
酒蔵や日本酒に対しては、ほかの日本酒と差別化するためにもさらなる「個性」が求められるようになってきています。
「個性」と「クセ」の境界線とは
「個性」の中には、かつては「クセがある」と表現され、あまり良くないイメージを持たれていた要素もあります。
日本酒における個性とクセの境界線はとても曖昧なもので、時代や消費者の受け取り方次第でどちらとも捉えられます。
たとえば日本酒にとって酸味は、避けられてきた風味のひとつでした。
製造の過程や貯蔵中の失敗により強い酸味が発生したり、劣化や火落ち菌の繁殖により酸味が強まったりすることから、日本酒の酸味はネガティブな要素として捉えられていたのです。
また酸味のある日本酒は、和食の食中酒として使いづらかったことも原因のひとつです。しかし現代では、酸味は日本酒の個性としてポジティブに捉えられるようになりました。
和食だけでなく洋食や中華など多様な食事に合わせて日本酒を楽しむようになったことや、各蔵元から酸味を活かしたさまざまな商品が販売されたことが背景としてあります。
このように日本酒の個性は時代とともに変化してきており、次々と新たな個性が生み出されています。
個性の強いおすすめ日本酒
では、個性の強い日本酒にはどのようなものがあるのでしょうか。ここではおすすめの個性の強い日本酒のおすすめをご紹介します。
古酒
古酒とは、日本酒を長期間熟成させて造られたお酒です。
「何年以上熟成する」という明確な定義はありませんが、酒蔵などから構成される長期熟成酒研究会では「満3年以上蔵元で熟成させた、糖類添加酒を除く清酒」を熟成古酒としています。
見た目は淡い黄金色から琥珀色で、ほどよい甘味と酸味、苦味がある深い味わいが特徴です。
無濾過生原酒
無濾過生原酒とは、濾過や火入れ、加水を行っていない、いわば酒蔵で絞ったままの「生まれたての日本酒」のことを指します。
火入れをしていないため瑞々しくフルーティーで、原酒ならではの濃厚で力強い味わいが特徴です。
個性豊かな日本酒の楽しみ方
では、個性の強い日本酒はどのように楽しむのがよいでしょうか。
おすすめは、より個性の違いを感じられるよう、いくつかの日本酒を用意して飲み比べることです。
途中で和らぎ水を飲んで口の中をリセットしながら、香りや味わいの違いを意識して楽しんでみてください。
日本酒は温度を変えることで味わいや香りの感じ方が大きく異なるため、温度を変えて飲み比べするのもおすすめです。好みの飲み方やその日本酒に合った飲み方を見つけましょう。
個性の強い日本酒は、料理との合わせ方にもコツがあります。
似たような味わいの料理を合わせることで、お互いの風味を邪魔することなく、よりおいしく楽しめます。
たとえば酸味の強い日本酒には柑橘系の食材やハーブ類、古酒にはねっとりと濃厚な味わいの料理と相性抜群です。
個性豊かな日本酒を堪能しよう
今回は、個性豊かな日本酒の魅力と、「個性」と「クセ」の境界線、個性の強いおすすめの日本酒、その楽しみ方についてご紹介しました。
見た目も味わいも、非常にバリエーション豊かな日本酒。個性の強い日本酒は、いつもと一味違う味わいを楽しみたいときにぴったりです。
いろいろな銘柄を飲み比べて、自分好みの「個性」を見つけてみましょう。