家族や親戚、友人と集まる機会の多い年末年始。おせちや寿司などのご馳走とともに、日本酒を楽しむ方も多いのではないでしょうか。
日本では古くから、お正月に限らずお祝いの席で日本酒を飲む風習があります。今回は、お正月の日本酒の文化や、年末年始におすすめの日本酒についてご紹介します。
お正月の日本酒の文化
日本酒の起源は、約2000~2500年前の弥生時代の頃。中国から稲作が伝わり、米による日本酒造りが始まったと言われています。
古墳・飛鳥時代には、主に神様や天皇に捧げる特別な飲み物として、日本酒造りは徐々に国内に広まっていきます。
奈良時代には、「造酒司(さけのつかさ)」という政治の役所に「酒部」と呼ばれる部署が設けられます。豊作祈願などの神事にお酒がまつられるなど、神事や宗教と酒造りが密接な関係を持つようになりました。
平安時代には徐々に一般の人もお酒を飲むようになり、人々が集う祭事の風習となります。
お正月に飲む日本酒の文化として、古くから伝わるのが「お屠蘇(おとそ)」です。中国から伝わった文化で、一年の初めに邪気を払い無病長寿を願って飲まれます。
お屠蘇は、日本酒やみりんなどに「屠蘇散(とそさん)」や「屠蘇延命散(とそえんめいさん)」という5~10種類ほどの生薬を調合して作ります。関東では馴染みがない家庭もあるものの、西日本では現代でも親しまれています。
お正月の初詣の際に神社で振る舞われる「御神酒(おみき)」は、神様に奉納するお酒のことです。お供えするとお酒に神霊が宿り、神様と同じものを飲食することでご利益があると言われています。
年末年始におすすめの日本酒
日本酒は、年末年始の手土産やお歳暮としてもぴったりです。ここでは、年末年始におすすめの日本酒をご紹介します。
お正月の限定酒
お正月に向けて、多くの酒造から新年専用の限定酒が販売されます。
神社でご祈祷を受けた縁起のよいお酒や、新年限定の特別なボトルの祝い酒、華やかなラベルのお酒など、おめでたい席にふさわしい日本酒を用意すると喜ばれるでしょう。
また干支にちなんだ日本酒も多く販売され、コレクションを兼ねて購入するファンも多いです。
飲みやすい万人受けする日本酒
人が集うことの多いお正月は、普段日本酒を飲まない方も、日本酒に触れる機会となるでしょう。
そこで日本酒に不慣れな方でも飲みやすい、万人受けする日本酒を用意すると喜ばれます。
フルーティーで甘口な日本酒や、低アルコールの日本酒がおすすめです。
香りがおだやかでクセのない日本酒だと、おせちを初めとするお正月のご馳走と合わせて楽しむ食中酒としてもぴったりです。
米、米麹、水だけで造られた純米酒は、和食はもちろん米と合うさまざまな料理とマッチします。
冬ならではの「新酒」
冬にしか味わえない「新酒」もおすすめです。新酒とは、一般的に毎年12月から3月ごろにかけて販売される「新しくできた日本酒」です。
まだ熟成が進んでおらず、みずみずしくフレッシュな味わいを楽しめます。冬に旬を迎える魚介類や鍋料理などとの相性も抜群です。
ピリッとした刺激と発泡感があり、口の中をスッキリとさせて食材の旨みを引き立ててくれます。
特に50%以下に精米した米と米麹、水を使用して吟醸造りで造られた「純米大吟醸酒」の新酒は、香りも華やかで、新春の祝い酒としてぴったりです。
年末年始の祝いの席を彩る日本酒
今回は、お正月の日本酒の文化や、年末年始におすすめの日本酒についてご紹介しました。お正月をはじめ、おめでたいハレの席で古くから親しまれてきた日本酒の文化。
年末年始の集まりには、新年限定の華やかな日本酒や冬ならではの新酒など、新年を迎えるにふさわしい日本酒を選んで楽しみましょう。