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種類によって異なる!日本酒のおいしさを保つ正しい保存方法


日本酒は「生き物」に例える人もいるほど、とてもデリケートなお酒です。温度や光によって品質が変化するため、保存方法には注意が必要です。

日本酒本来の味わいや香りを損なうことなく楽しむために、正しく保存したいもの。そこで今回は、日本酒の正しい保存方法と、風味が変わってしまった際の日本酒の活用方法についてご紹介します。

 

日本酒に賞味期限はない!?

食品や飲料を保存する際、ラベルに記載された賞味期限をチェックする方も多いのではないでしょうか。しかし日本酒には、賞味期限の表示はありません。

本来、加工食品には、賞味期限や消費期限の表示が定められています。賞味期限は「おいしく食べられる期間」、消費期限は「安全に食べられる期限」をそれぞれ示します。しかし日本酒はその特性上、長期間の保存が可能であることから、酒税法では賞味期限の記載義務が定められていません。

その代わりに記載されているのは、「製造年月」です。日本酒における製造年月とは、お酒を搾った日ではなく、瓶やパックなどの容器に詰めて表品として完成した年と月を指します。

「賞味期限がないなら、ずっとおいしく飲めるのでは」と思うかもしれませんが、入手後は早めに飲んだ方が良いでしょう。日本酒は、おいしく飲めるベストタイミングで瓶詰めされて流通します。未開封で正しく保管していたとしても、徐々に日本酒の風味は変化していき、本来のおいしさが損なわれてしまいます。

おいしく飲める期間は、製造年月を基準にして、本醸造酒や普通酒だと約1年、吟醸酒だと約8ヶ月、生酒や生貯蔵酒だと約6か月を目安にすると良いでしょう。

 

日本酒の正しい保存方法

では、日本酒本来のおいしさを損なわずに保存するにはどうしたら良いのでしょうか。ここでは正しい保存方法のポイントを見ていきましょう。

 

生酒や吟醸酒は冷蔵保管がベスト

生酒や吟醸酒は、冷蔵保管が好ましいです。生酒は、「火入れ」と呼ばれる加熱処理を行わずに造られます。フレッシュな味わいを楽しめる一方で、酵素が活性状態で残っているため、酒質が変化しやすいデリケートなお酒です。吟醸酒は華やかでフルーティーな香りが特徴ですが、この香り成分は熱の影響で変質しやすい特徴があります。

これらの日本酒を常温の20℃25℃以上で保管していると、色が黄色や茶色に変色したり、焦げ臭くたくあんのような「劣化臭」が生じやすくなったりします。そのため生酒や吟醸酒は、5℃10℃くらいを保てる冷蔵庫での保管がベストです。

紫外線にさらすのは禁物

日本酒は、醸造酒の中でも特に紫外線に弱いと言われています。数時間程度でも太陽光を浴びると変色し、「日光臭」と呼ばれる焦げたような臭いを発することがあります。また蛍光灯の光にも微量ながら紫外線を発するものがあるため、注意が必要です。太陽光や蛍光灯の光が当たらない冷暗所で保管するようにしましょう。

瓶を立てて保管する

日本酒は、瓶を立てて保管するのが基本です。日本酒の瓶を横に寝かせて保管すると、縦にしたときと比べて、瓶内で日本酒が空気に触れる面積が大きくなります。日本酒は空気に触れることで、酸化によって成分が変化してしまいます。また一升瓶は、キャップの材質が長期保存向きではありません。特に金属製のキャップは、日本酒が触れることで味が変化するため注意しましょう。

 

風味が変わってしまった日本酒の活用方法

風味が変わってしまった日本酒でも、捨ててしまうのはもったいないもの。そこでおすすめなのが、料理酒として活用することです。日本酒は、食材の臭みを消したり、旨みを引き出したり、食材を柔らかくしたりと、料理をおいしくするさまざまな働きがあります。

また、お風呂に入浴剤代わりに入れて「日本酒風呂」として楽しむのもおすすめです。日本酒を入れることで湯気とともにふわっと日本酒の香りが広がり、リラックス効果が得られます。またアルコールに含まれる「アデノシン」の働きで、血流をよくする効果も期待できます。

 

正しい保存方法でおいしい日本酒を

今回は、日本酒の正しい保存方法と、風味が変わってしまった際の日本酒の活用方法についてご紹介しました。

日本酒は保存方法が悪いと、劣化してしまい日本酒本来の香りや味わいを楽しめなくなってしまいます。温度と紫外線に注意して保存し、なるべく早めに飲み切りましょう。