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日本酒の冷酒とは。おすすめの日本酒や飲み方をご紹介


蒸し蒸しとうだるような暑さが続くこの季節。暑さで疲れた身体を癒すには、きりりと冷えた冷酒がぴったりです。

今回は、日本酒の冷酒とはどのようなものか、冷酒におすすめの日本酒や飲み方をご紹介します。

 

日本酒の「冷酒」とは

日本酒の「冷酒」とは、その名の通り「冷やした日本酒」を指します。日本酒は飲む温度帯により香りや味わいの感じ方が異なる、世界でも珍しいお酒です。

冷酒にすると、すっきりとした清涼感のある飲み心地になり、シャープな味わいを楽しめます。冷やすことで日本酒独特のクセが抑えられるため、日本酒初心者やクセが苦手な方でも飲みやすく感じるでしょう。

また冷酒は味のバランスが良く、日本酒そのものの味わいを感じやすくなるため、飲み比べをしたいときにも向いています。

よく混同されがちな言葉に「冷や(ひや)」がありますが、こちらは「常温の日本酒」のことです。季節によって多少温度は異なるものの、一般的には冷たくも温かくもない20度前後の日本酒を指します。

 

冷酒の温度帯による呼び方の違いと特徴

冷酒の中でも温度帯によって呼び方が異なり、わずかな温度差で味わいに変化が生まれます。ここでは、冷酒の温度帯による呼び方の違いとそれぞれの特徴について見ていきましょう。

涼冷え

涼冷えとは「涼やかな冷たさを感じる日本酒」で、15度程度のものを指します。目安としては、冷蔵庫から出して室温に10分ほど置いておいたときの温度です。爽やかな冷たさを感じつつも口当たりがやわらかで、味わいはまろやか。冷やしすぎないので日本酒の華やかな香りをしっかりと感じられます。

花冷え

花冷えははもともと「桜の花の咲く頃に寒の戻りがあること」を意味する言葉ですが、日本酒では「花さえ冷たくなる温度の日本酒」を指します。温度は冷蔵庫で冷やしたくらいで、だいたい10度程度です。口に入れるとはっきりとした冷たさが伝わり、穏やかな香りが徐々に広がります。冷やすことで味わいはきめ細やかになります。

雪冷え

雪冷えとは「雪のように冷えた日本酒」で、冷酒の中でも特に温度が低い5度程度のものを指します。瓶に結露ができるほどキンキンに冷やすことで、日本酒独特の香りが抑えられ、シャープですっきりとした味わいを楽しめます。さらに冷やしてシャーベット状になった日本酒は「みぞれ酒」と呼ばれ、シャリっとした食感が楽しい夏にぴったりの楽しみ方です。

 

冷酒におすすめの日本酒

では、冷酒で楽しむならどのような日本酒を選ぶと良いのでしょうか。

冷酒におすすめの日本酒として代表的なものは、「大吟醸酒」や「吟醸酒」です。大吟醸酒は精米して残った米の割合を示す精米歩合が50%以下のもの、吟醸酒は60%以下のものが分類されます。

フルーティーで爽やかな香りとすっきりとした淡麗な味わいが特徴です。冷やすことでより淡麗な味わいが際立ち、フレッシュな香りを感じながら楽しめます。しかし冷やしすぎるとせっかくの香りが抑えられてしまうため、「涼冷え」や「花冷え」で飲むのがおすすめです。

また精米歩合70%以下の米・麹・醸造アルコールから造られる「本醸造酒」も冷酒におすすめです。本醸造酒は、さらりと飲める軽い飲み口と、甘みの少ないすっきりとした味わいが特徴です。「雪冷え」や「花冷え」で飲むと、爽快感が増し、暑い夏でもさっぱりと楽しめます。

 

冷酒をよりおいしく楽しむポイント

冷酒をよりおいしく楽しむには、「冷酒器」を用意するのがおすすめです。

冷酒器とは、日本酒を冷やすための酒器のこと。主にガラスや陶器などの素材で作られており、グラスやピッチャー、急須のような形状などさまざまなタイプがあります。

見た目が涼し気なだけでなく、錫製など素材によっては熱伝導率に優れており最後までひんやりと楽しめるメリットもあります。

また、冷酒に合う料理を用意するのもポイントです。すっきりした口当たりの冷酒は、基本的には和食・洋食問わずどのような料理ともよく合います。中でも、フグやヒラメのような白身系の淡白なお刺身や、和え物や酢の物など冷たくさっぱりとした料理などとの相性は抜群です。

洋食であれば、カルパッチョやカプレーゼ、マリネなどの冷製料理がおすすめです。お互いの相乗効果でさっぱり爽やかな味わいが引き立ち、食欲がなくなりがちな暑い日でも冷酒とともにどんどん箸が進みます。

 

暑い夏は冷酒で乗り切ろう

今回は、日本酒の冷酒とはどのようなものか、冷酒におすすめの日本酒や飲み方をご紹介しました。

口の中で香りが穏やかに広がり、淡麗な味わいが引き立つ冷酒。夏バテで食欲がないときでも、スッキリ爽やかな味わいの冷酒は飲みやすく、食欲を増進してくれます。