徐々に気温が高まってくるこの季節。うだるような暑さの日は、キリっと冷えた辛口の日本酒が飲みたくなりますよね。
とはいえ、多種多様な日本酒の中から好みに合った辛口の日本酒を選ぶのはなかなか難しいもの。そこで今回は、辛口の日本酒の特徴と選び方、よりおいしく楽しむポイントについてご紹介します。
辛口の日本酒とは
日本酒の味わいの分類として、「辛口」「甘口」とよく耳にします。これは食べ物のように甘いか辛いかということではなく、「糖分が多いか少ないか」を基準としています。糖分が少ないと辛口の日本酒、糖分が多いと甘口の日本酒です。
この糖分の量を判断する目安となるのが、「日本酒度」です。日本酒度とは、水に対する日本酒の比重を表した数値です。水を基準とすると、糖分は水よりも重く、アルコール分は軽くなります。そのため糖分が多く含まれる日本酒ほど、液体自体が重くなります。日本酒度がプラスの日本酒は糖分が少ない辛口、日本酒度がマイナスの日本酒は糖分が多い甘口です。
辛口の日本酒の選び方
辛口の日本酒と一口に言っても、その味わいはさまざまです。そこでここでは、辛口の日本酒を選ぶポイントを見ていきましょう。
ラベルに記載される日本酒度をチェックする
辛口の日本酒を選ぶには、まずは先にご紹介した日本酒度をチェックするのが分かりやすいです。日本酒のラベルを見ると、「+3」や「-5」などと数値が記載されています。一般的にはアルコール度数が同じ日本酒だと、-3.5から -5.9が「甘口」、-1.5から-3.4が「やや甘口」、+1.5から+3.4が「やや辛口」、+3.5から+5.9が「辛口」と言われています。
酸度をチェックする
日本酒の味わいは、さまざまな要因が複雑に絡み合って生まれます。日本酒の「辛口」「甘口」も、日本酒度が分かりやすい目安にはなるものの、そのほかにも旨味成分や酸の濃度などの要因も関係してきます。
「辛口」「甘口」の分類に加え、「淡麗」「濃醇」も日本酒の味わいを示す言葉です。淡麗はさっぱりとした味わい、濃醇はしっかりと濃厚な味わいを表します。淡麗か濃醇かを見分けるのに役立つのが、日本酒度と同じくラベルに記載される「酸度」です。
酸度は単純に「酸っぱさ」を示すものではなく、日本酒の味わいを造り上げる上で欠かせない「有機酸」の含有量を示す数値です。日本酒は製造過程において、酵母や麹、米などから、乳酸、コハク酸、リンゴ酸などの有機酸を発生させます。
有機酸は日本酒の味わいを引き締め、キレをもたらすと言われます。酸度が低くて日本酒がプラスだと「淡麗辛口」、酸度が低く日本酒度がマイナスであれば「淡麗甘口」に、酸度が高く日本酒度がプラスだと「濃醇辛口」、酸度が高く日本酒度がマイナスだと「濃醇甘口」となる傾向があります。
辛口の日本酒を楽しむポイント
辛口の日本酒をよりおいしく楽しむポイントは、温度です。辛口のキリっと爽やかな味わいを引き立たせるには、飲む前に冷蔵庫でしっかり冷やしましょう。5℃前後を目安にキンキンに冷やし、できれば日本酒を注ぐお猪口やグラスも冷蔵庫に入れて冷やしておくと良いです。
また辛口の日本酒に合わせるおつまみにもポイントがあります。すっきりとクセのない「淡麗辛口」には、シンプルでさっぱりとした味つけの料理を合わせると、それぞれの味を邪魔せずに引き立て合います。
冷奴や酢の物、白身魚のお刺身などが良いでしょう。しっかりと濃厚な味わいの「濃醇辛口」には、濃いめの味付けでがっつりとした料理によく合います。すき焼きやタレの焼鳥、甘辛い魚の煮つけなどがおすすめです。
辛口の日本酒でさっぱり爽やかに暑さを乗り切ろう
今回は、辛口の日本酒の特徴と選び方、よりおいしく楽しむポイントについてご紹介しました。日本酒の味わいを見分けるひとつの基準となる、辛口と甘口。キレが良く爽やかな辛口の日本酒は、暑い夏を乗り切るためにぴったりです。