古来より日本の文化と深く結びつき、人々に親しまれてきた日本酒。奈良時代の初期には既に日本酒造りがされていた記述があり、はるか昔から受け継がれてきた日本の大切な食文化です。
今や海外でもそのおいしさが認められ、人気が高まっています。
今回は、海外で日本酒が人気となったきっかけや日本酒の輸出国ランキング、海外で評価される日本酒についてご紹介します。
海外で日本酒が人気となったきっかけ
人口減少や嗜好の多様化などの要因から、現在日本では日本酒の需要減少が続いています。そんな中、なぜ海外で日本酒の人気が高まったのでしょうか。
日本酒が海外に注目されるようになったきっかけは、2013年に「和食:日本人の伝統的な食文化」がユネスコの無形文化遺産登録されたことです。
新鮮で種類豊富な食材、優れた栄養バランス、四季を表現した美しい盛り付けなど和食ならではの魅力が人を惹きつけ、欧米を中心に人気が高まります。和食を提供するレストランも次々とオープンしました。
和食が広まるとともに、和食と合わせて楽しむ「日本酒」の認知度も徐々に高まります。アルコール度数もさほど高くなく、初心者でも飲みやすい多彩な種類のある日本酒は、瞬く間に人気のお酒となりました。
同じころ、日本では観光へ力を入れた政策を行っており、格安航空便・LCCが増えたことやアベノミクス効果による円安なども相まって訪日外国人観光客が一気に増加しました。
「せっかく日本に来たなら、日本ならではのお酒を楽しみたい」というニーズもあり、日本滞在時に日本酒を味わってファンになったという外国人も多いです。
今では日本酒は、海外で「SAKE」という愛称で親しまれています。日本酒に関するイベントが毎年のように世界各地で開催されるようになり、さらにその人気は広まりつつあります。
日本酒の輸出国ランキング
日本酒の輸出量は、10年以上も連続で増加しています。では一体どのような国へ輸出されているのでしょうか。ここでは日本酒の国別輸出額ランキングを見てみましょう。
順位 |
国名 |
輸出額(千円) |
数量(ℓ) |
1 |
中華人民共和国 |
14,160,804 |
7,388,072 |
2 |
アメリカ合衆国 |
10,929,531 |
9,083,761 |
3 |
香港 |
7,115,799 |
2,717,400 |
4 |
大韓民国 |
2,523,017 |
4,053,917 |
5 |
シンガポール |
2,325,956 |
917,488 |
6 |
台湾 |
2,222,419 |
3,076,021 |
7 |
カナダ |
1,162,614 |
1,005,422 |
8 |
オーストラリア |
932,034 |
806,207 |
9 |
ベトナム |
705,663 |
692,615 |
10 |
マレーシア |
625,686 |
581,875 |
日本酒の輸出量トップは、中国です。コロナ禍の影響で以前よりは減少しましたが、中国から日本への観光客は今もなお多くいます。旅行中に日本酒のおいしさに触れ、「帰国してからも日本酒を楽しみたい」という需要があります。
ランキング上位をアジア圏が占める中で、2位に躍り出たのがアメリカです。アメリカでは、「日本酒バー」がオープンしたり日本酒造りに取り組むアメリカ人がいたりするほど、日本酒ブームが到来しています。
海外で評価される日本酒とは
見た目も味わいもさまざまな種類のある日本酒ですが、海外ではどのような日本酒が評価されているのでしょうか。
日本酒の輸出量が多い東南アジアや韓国では、比較的リーズナブルな価格帯の日本酒が老若男女問わず人気です。格式高い和食レストランよりも、日本のような居酒屋スタイルのニーズが高いことも要因のひとつでしょう。
アメリカでは、お肉料理と相性がよく、すっきりと爽快な味わいで口当たりの良い日本酒が好まれます。
ワイン文化が根強いヨーロッパでは、日本酒は食中酒として楽しまれることが多いです。そのため料理とペアリングしやすく、ほのかな酸味とふくよかな旨みを感じる日本酒が好まれる傾向があります。
海外でも人気が高まる日本酒
今回は、海外で日本酒が人気となったきっかけや日本酒の輸出国ランキング、海外で評価される日本酒についてご紹介しました。日本で古くから大切にされてきた日本酒の文化が、世界に評価されていることは、日本人として嬉しい気持ちになりますね。外国人をも虜にする奥深い日本酒の魅力を、改めて感じてみましょう。