私たちが普段何気なく口にしているビールですが、ビールにもさまざまな種類があります。
その数なんと世界中で150種類以上あると言われており、色や香り、味わいもそれぞれ大きく異なります。
今回は日本で最も一般的な「ラガービール」の特徴とその種類、ラガービールをおいしく楽しむためのポイントについてご紹介します。
ラガービールとは
ビールは大きく分類すると、「ラガービール」と「エールビール」に分かれます。現在世界中で飲まれているビールの9割はラガービールと言われており、日本でも最もポピュラーです。
「ラガー」とは、ドイツ語で「貯蔵」を意味します。ラガービールは、貯蔵工程において低温でじっくり熟成させたビールのことです。ラガービールは、麦汁にホップを加えて煮沸させ、0〜15℃の低温で約10日かけて発酵させます。発酵が進むにつれて酵母がタンクの下に沈殿するため、「下面発酵」と呼ばれます。
「エールビール」は酵母が麦汁の表面に浮き上がっていく「上面発酵」と呼ばれる方法で作られます。歴史は上面発酵の方が古いものの、中世以降からは下面発酵でのビール造りが始まり、19世紀以降には世界的に主流となりました。下面発酵は雑菌が繁殖しにくく、一定の品質を保ったビールを大量生産するのに向いているためです。
ビールの本場ドイツでもラガービールはポピュラーで、土地ごとにさまざまなラガービールが楽しまれています。日本では「ビールの表示に関する公正競争規約」でビールの分類が定められており、貯蔵工程で熟成させたビールのみ「ラガービール」と表示することができます。
ラガービールの特徴
ラガービールの特徴は、ゴクゴクと飲める爽快な喉ごしと、雑味のないすっきりとした味わいです。低温で時間をかけて発酵させるため、香りが穏やかでクセがありません。そのため濃い味付けからシンプルな味付けまで、比較的幅広い料理とよく合います。ビールに不慣れな方でも飲みやすいです。
ラガービールの種類
ラガービールと一口に言っても、その中でもさまざまな種類があります。代表的なものは、以下のとおりです。
- ・ピルスナー
- ・デュンケル
- ・メルツェン
- ・へレス
ラガービールの中で最も普及しているのが「ピルスナー」です。ホップ由来の爽快な苦味と美しい黄金色が特徴で、クリアな飲み口を楽しめます。
デュンケルはドイツ語で「濃い」を意味し、その名の通り濃い茶色の見た目のビールです。焦がしたキャラメルのような独特の香ばしい甘みがあり、ビールの苦みが苦手な方にもおすすめです。
メルツェンは、春に仕込んで秋に飲む長期熟成型のラガービールです。通常のラガービールは数週間の熟成ですが、メルツェンは約半年以上かけて熟成します。苦みやホップの香りが穏やかで、まろやかな味わいが特徴です。アルコール度数は高く、見た目は金色に近い赤褐色です。
ヘレスは、1890年代にチェコの「ピルスナー」に対抗するため開発されたビールです。クセが無くあっさりとした味わいで、料理と一緒に楽しむのに向いています。ホップの苦みは少なく、麦芽由来の豊かな風味や旨み、ほのかな甘みが感じられます。
ボックは、ドイツ北部の都市・アインベックを発祥とするビールです。その特徴は、6.5~7.5%というアルコール度数の高さです。中にはアルコール度数14.5%の銘柄もあります。色は黒や茶色、琥珀色などさまざまです。ホップの豊かな香りと、芳醇でコクのある味わいを楽しめます。どっしりとした重厚感があり、肉料理と合わせるのもおすすめです。
世界で親しまれるラガービール
今回は日本で最も一般的な「ラガービール」の特徴とその種類、ラガービールをおいしく楽しむためのポイントについてご紹介しました。世界各国、そして日本で多くの人に親しまれているラガービール。ラガービールの中にはさまざまな種類があるため、好みの味わいを探すのも楽しいですね。