日本酒をよりおいしく楽しむなら、意外と重要なのが「酒器」の選び方です。
酒器とは、その名の通りお酒を飲んだり注いだりするために使われる容器の総称を指します。
酒器は素材も形状もさまざまな種類があるため、「どのように選んだらよいのか分からない」と悩む方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、酒器の種類と選び方について詳しくご紹介します。
日本酒を飲む酒器
日本酒を飲むための酒器には、主に以下の4種類があります。
- ・お猪口(おちょこ)
- ・ぐい呑み
- ・盃(さかずき)
- ・ワイングラス
お猪口は、「ちょこっと飲む」が語源となった小さな酒器です。一般的に口が広く、底がすぼんだ形をしており、主に日本酒を飲む際に使われます。
一口で飲み干せるお猪口に対し、少し大きめで何口かに分けて飲み干す酒器が「ぐい呑み」です。「ぐいっと呑む」ことが語源となったと言われています。お猪口よりも底が深く、口径もやや広く作られています。
盃とは、小皿のように平たい形状の酒器です。日本で最も歴史のある酒器といわれており、古くから神事に使われてきました。今でも、結婚式やお正月などのおめでたい場でよく使われます。
ワイングラスは「ワインのための酒器」のイメージが強いですが、日本酒を楽しむ酒器としてもぴったりです。飲み口が広い分、日本酒の繊細な風味をより感じ取ることができます。
日本酒を注ぐ酒器
日本酒を飲むための酒器には、主に以下の4種類があります。
- ・徳利(とっくり)
- ・片口(かたくち)
- ・ちろり
- ・お銚子(ちょうし)
徳利とは、上向きの首が付いた大きめの酒器のことで、酒を入れて杯に注ぐために使われます。日本の伝統的な酒器で、起源は室町時代の後半ごろといわれています。首は細く注ぎ口は小さく、ふっくらとした胴体と背の高い形状が一般的です。諸説ありますが、酒を注ぐときに「とくりとくり」と音を立てることが語源とされています。
首がなく、片方だけに注ぎ口が付いたものは「片口」です。徳利よりも口が広く、日本酒のお米由来のふくよかな香りを楽しみたい時にはぴったりです。また容量が大きいため、たくさん飲みたい時にも便利です。
ちろりとは、燗酒を作るためのコップのような形状の酒器です。「酒たんぽ」とも呼ばれます。日本酒を入れて湯煎にかけ、好みの温度まで温めて使います。主に 錫や銅などの金属で作られており日本酒全体を均一に温められるため、雑味が出にくくおいしい燗酒になります。注ぎ口と取っ手がついているため、注ぎやすいのもポイントです。
お銚子とは、長い柄のついた急須のような形状の酒器のことです。本来は、お正月の御神酒や神道の結婚式の三三九度で巫女さんが酒を盃に注ぐときに用いられます。主に金属製ですが、中には木製や磁器製のものもあります。
日本酒のおいしさを引き立たせる酒器を選ぶには、「容量」「素材」「形状」の3つがポイントです。
「大は小を兼ねる」と言いますが、酒器に関しては自分の飲む量やペースに合ったサイズを選ぶことが大切です。器に入れる酒の量が多いと飲みきるまでに時間がかかるため、日本酒がぬるくなったり空気に触れる時間が長くなったりして風味が変わってしまいます。おいしい内に飲み切れるサイズの酒器を選びましょう。
酒器の素材でも、日本酒の風味の感じ方が異なります。ガラスや金属は口当たりが冷たく、シャープな味わいを感じられます。陶器は他の素材に比べると厚みがあり、口当たりがまろやかです。磁器はその中間くらいで、陶器に比べると薄くなめらかな質感です。
酒器の形状は、クセがなくすっきりとした味わいを楽しみたいなら、口径が広くて下がすぼまるタイプがおすすめです。香りも味もバランスよく楽しめるオールマイティーな存在です。胴は丸く、飲み口にかけてすぼまっているタイプは、すぼまっている部分に空気が溜まり日本酒のふくよかで濃厚な香りを楽しめます。
酒器で日本酒をもっと楽しもう
今回は、酒器の種類と選び方について詳しくご紹介しました。日本酒の味わいや香りの感じ方に意外と大きな影響を及ぼす酒器。酒器にこだわることで、いつもの晩酌がもっと特別なものになるはずです。