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ビール造りに欠かせない「ホップ」とは?成分や役割を解説


麦芽や水と同様、ビールづくりにおいて欠かせない主原料のひとつである「ホップ」。ホップにはたくさんの品種があり、使うホップによってビールの味わいや香りは大きく異なります。近年ではクラフトビールの流行によって、さまざまな種類のホップを使用したビールも増えてきました。今回は、ホップとはどんなものなのか、成分や役割、種類についてご紹介します。

ビールの原料である「ホップ」とは?

ホップとは、アサ科カラハナソウ属のつる性の多年生植物です。春に芽を出し、花の咲き始める初夏には7m近くまで育ちます。ホップの雌しべは「毬花(まりはな)」といい、数cmほどの松かさに似た花のような形をしています。ビール造りに使われるのは、毬花を割くと出てくる「ルプリン」という黄色い粉末です。

ホップは冷涼で乾燥した地域が主な産地で、ドイツ東南部ハラタウ地方、ドイツ西南部テトナング地方、チェコ北西部ザーツ地方などが名産地として知られています。日本のビールづくりでは主にドイツやチェコから輸入したホップが使われることが多いです。日本でも栽培されており、岩手県遠野市が日本一のホップ産地として知られています。そのほか北海道と東北地方の青森県・秋田県・山形県でも栽培されています。

ビール造りにおけるホップの役割とは

ホップは、ビール特有の味わいを作り出すために重要な役割を果たします。ここでは、それぞれの役割について詳しく見ていきましょう。

苦味を与える

ビールの苦味のもととなるのが、ホップの中のルプリンに含まれている「アルファ酸」という成分です。アルファ酸自体にはそれほど苦味はないものの、煮沸すると「イソアルファ酸」に熱変化し、苦味を発するようになります。水にも溶けやすくなるため、ホップを麦汁に投入して煮沸すると、苦味成分が麦汁に移ります。

香りを与える

またホップは、ビール特有の香りのもとにもなっています。ビールの香りは、基本的には酵母が織り成す「エステル香」、ホップ由来の「ホップ香」、モルト由来の「モルト香」の3つの香りの組み合わせからできています。ホップの香りは種類によって異なり、柑橘系のフルーツのような香りや花のような香り、スパイスのような香り、青草のような香りなどさまざまです。理想の味わいに近づけるために、1種類のホップだけでなく、複数の品種のホップを組み合わせることもあります。

ビールの品質を維持する

ホップは味わいを左右するだけでなく、口当たりやおいしさを保ちビールの品質を維持する役割もあります。苦味を与えるホップの成分「イソアルファ酸」は、ビールの泡持ちを良くします。泡があることで、炭酸ガスを逃がしにくくなり、味わいが変化するのを防いでくれます。

ホップの種類

ホップは常に新たな品種改良が行われており、現在は世界中で200種類以上のホップがあると言われています。クラフトビールに使われる有名なホップには、下記の3種類があります。

  • ・アロマホップ
  • ・ビターホップ
  • ・ファインアロマホップ(ノーブルホップ)

「アロマホップ」は、香りづけに特化したホップです。ビールに穏やかな苦味と香りを与えます。「ビターホップ」は、苦味成分の含有量が多く、苦味の強いビールを造るのに役立ちます。「ファインアロマホップ(ノーブルホップ)」は、刺激の少ない爽やかな苦みと上品な香りが特徴です。

ビールの味わいを左右する奥深いホップの世界

今回は、ホップとはどんなものなのか、成分や役割、種類についてご紹介しました。ビール造りにおいて味わいを左右する重要な役割を担うホップ。多種多様なホップを使ったビールは、個性豊かでさまざまな味わいを楽しめます。