どちらも耳にすることの多い「日本酒」と「清酒」。どのような違いがあるのかよく分からないという方も多いのではないでしょうか。同じような意味合いで使われることも多い言葉ですが、実は厳密にはそれぞれ定義が異なります。そこで今回は、日本酒と清酒の違いや、清酒の種類と楽しみ方についてご紹介します。
日本酒と清酒の違い
「清酒」とは、米、米こうじ及び水を主な原料として造られた、濁っていないお酒を指す言葉です。原料の米の産地は問われず、海外産の米を使った場合も「清酒」に分類されます。国税庁の酒税法においては、清酒の定義は下記のように定められています。
- ・米、米こうじ及び水を原料として発酵させて、こしたもの
- ・米、米こうじ、水及び清酒かすその他政令で定める物品を原料として発酵させて、こしたもの
- ・アルコール分が22度未満のもの
「日本酒」は清酒の中のカテゴリーのひとつで、「原料の米に日本産米を用い、日本国内で醸造したもののみ」を指します。日本酒と同じ製法で造られていても、原料が海外産の米であったり、海外で造られたりしたものは、「日本酒」ではなく「清酒」として表示されます。
清酒の種類
清酒は、原料や製法によって「普通酒(一般酒)」と「特定名称酒」の大きく2種類に分けられ、さらに特定銘酒酒の中でも8種類に分類されます。これらを分類する基準となるのが、精米歩合です。
精米歩合とは、玄米から表層部を削り、残った米の割合を%で表した数値です。 例えばラベルに表示された精米歩合が60%であれば、「40%が削られ、残りの60%を使用して造られたお酒」という意味になります。精米歩合が高いほどお米本来の旨みを感じられるお酒となり、低いほど雑味のないすっきりとした味わいになります。
原料が米・米麹、水で造られたお酒は、以下のように分類されます。
- ・純米酒:精米歩合の指定なし
- ・特別純米酒:精米歩合60%以下、または特別な方法で造られたお酒
- ・純米吟醸酒:精米歩合60%以下
- ・純米大吟醸酒:精米歩合50%以下
原料が米・米麹・水・醸造アルコールで造られたお酒は、以下のように分類されます。
- ・本醸造酒:精米歩合70%以下
- ・特別本醸造酒:精米歩合60%以下、または特別な方法で造られたお酒
- ・吟醸酒:精米歩合60%以下
- ・大吟醸酒:精米歩合50%以下
醸造アルコールとは、主にサトウキビからとれる糖蜜やトウモロコシなどを原料として造られた純度の高いアルコールのことです。すっきりとした味わいとフルーティーな香りが特徴です。
清酒をおいしく楽しむには
清酒は、同じお酒でも温度によって感じ取る味わいや香りが変わります。世界的に見ても珍しい、幅広い温度帯で楽しめるお酒です。温度ごとで呼び名も異なり、大きく「燗酒」「冷や」「冷酒」の3つに分けられます。
燗酒とは温めた清酒のことです。温度が高くなるほど甘味や旨みを感じやすくなり、お米本来のまろやかな味わいや香りがふんわりと広がります。
冷やは20℃前後の常温で飲むことを指し、そのお酒本来の味わいを楽しみたい場合におすすめです。冷やして飲む冷酒は、甘味が抑えられ、すっきりとした喉越しを楽しめます。日本酒独特のクセが苦手な方でも、風味が抑えられ飲みやすくなるためおすすめです。ぜひ自宅で清酒を飲む際も、温度を変えて味わいの変化を楽しんでみてください。
自分好みの清酒を見つけよう
今回は、日本酒と清酒の違いや、清酒の種類と楽しみ方についてご紹介しました。米、米こうじ及び水を主な原料として造られた清酒の中でも、国産の米を原料とし、国内で醸造された日本酒は、日本が誇る独自の文化です。種類によってさまざまな味わいを楽しめるのはもちろん、温度帯が変わるだけでもまた違った味わいを楽しめます。