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日本酒の「原酒」とは。おいしさの秘密に迫る


日本酒のラベルで、「原酒」という言葉を見かけたことはありませんか?日本酒は製法や原料によってさまざまな種類に分類され、それぞれに異なる魅力があります。中でも原酒は、濃醇で深い旨味があり、個性的な特長を持つ日本酒です。今回は、原酒とはどういうお酒なのか、原酒の種類や特徴についてご紹介します。

 

日本酒の「原酒」とは

そもそも「原酒」とは、どういう日本酒なのでしょうか。一般的な日本酒の製造過程では、貯蔵された日本酒に仕込み水を加える「割水(加水)」と呼ばれる工程があります。割水を行うことで、日本酒のアルコール度数を15〜16%に調整し、飲みやすくします。また、日本酒独特の香りや味わいのバランスを調整する役割もあります。

原酒は、この割水を一切行わずに造られる日本酒です。水を加えない分アルコール度数は18%前後と高い傾向があり、中には20%を超えるものもあります。

原酒の特徴

原酒の特徴は、割水をしていない分、日本酒本来の凝縮された旨味と芳醇な香りをダイレクトに楽しめることです。お米由来の甘味と旨味が存分に活かされ、個性的な風味となります。

また、一般的な日本酒に比べてアルコール度数が高い分、飲みごたえのあるパワフルな飲み口を楽しめます。

「原酒」と「生酒」の違い

原酒とよく混同されがちなものに「生酒」がありますが、こちらは醪(もろみ)を搾った後に「火入れ」と呼ばれる加熱処理をせずに造られたお酒を指します。通常日本酒は、完成した醪を搾りタンクで貯蔵する前と、瓶や容器に詰めて出荷する前の2回加熱処理を行います。加熱処理を行うことで、殺菌や酵素が反応することによる劣化を防ぐ役割があります。加水調整を行っていても、火入れをしていなければ「生酒」です。

「生原酒」は、「生」と「原酒」に分けられるその名前の通り、火入れも割水も行わずに造られた日本酒を指します。「無濾過生原酒」は、さらに濾過も行っていない日本酒です。通常の日本酒では味わえない、酒本来の色合いや旨みとコク、生まれたてのフレッシュさを味わえます。しかし加熱処理を行っていない分、中の菌が活発に動いて酒質が変化しやすいため、保管には注意が必要です。栓を開けた後は早めに飲み切るようにしましょう。

原酒の楽しみ方

では、原酒をよりおいしく楽しむにはどのように飲めばよいのでしょうか?ここでは、おすすめの楽しみ方をご紹介します。

オン・ザ・ロック

パワフルな飲み口が魅力の原酒ですが、アルコール感が強すぎて飲みづらく感じる方もいるでしょう。そこでおすすめなのが、オン・ザ・ロックです。

原酒に氷を入れただけのシンプルな飲み方ですが、氷を入れることで爽やかな口当たりになり、飲みやすくなります。また時間とともに氷が少しずつ溶けて、原酒が薄まりまろやかになります。氷は大きめの天然氷がおすすめです。

カクテルベースとして

少しクセのある原酒は、カクテルベースとしてもぴったりです。原酒そのものの味わいが濃厚なため、フルーツやジュースと組み合わせても旨味や酸味が薄まらず、日本酒の個性をしっかりと活かせます。

原酒とソーダを同量注いで日本酒ハイボールにしたり、ライムジュースや生ライムと合わせるとキリっと爽やかなカクテルにしたり、甘味のあるカシスで華やかに仕上げたり……組み合わせ次第で楽しみが広がります。

濃厚な原酒の味わいを楽しもう

今回は、原酒とはどういうお酒なのか、原酒の種類や特徴についてご紹介しました。パワフルで個性の強い原酒は、そのまま飲むのはもちろん、カクテルとしてアレンジしてもその魅力を存分に楽しめます。