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日本酒のランクとは。普通酒、純米酒、吟醸酒、本醸造酒の違いを解説


原料や製造工程によって、さまざまな種類がある日本酒。酒屋やスーパーなどでも数多くの日本酒が並び、その価格にも大きく幅があります。そこで日本酒を選ぶひとつの基準となるのが、日本酒のランクです。今回は、日本酒のランクとはどういうものなのか、分類方法とそれぞれの特徴についてご紹介します。

日本酒のランクとは

現在日本酒のランクは、8種類の「特定名称酒」とそれ以外の「普通酒」の大きく9種類に分類されます。特定名称酒とは、原料や精米歩合、醸造法などを基準として日本酒を分類し、それぞれに特定の名称を与えたものです。どのメーカーでも統一して、同じ基準で分類されます。この基準に当てはまらないものが一般的に「普通酒」と呼ばれます。

かつて日本酒は、国税局によって「特級」「一級」「二級」といった等級が付けられ、等級によって課される酒税を決めていました。等級付けの基準となったのは、味わいや香り、アルコール度数など、酒類審議会による総合的な品質審査です。

戦争の米不足をきっかけに制定されたこの等級制度は、1992年に廃止され、現在の特定名称による分類になりました。等級制度の廃止後も、日本酒の蔵元やメーカーによっては、それぞれ独自の基準で分類し「特撰」「上撰」「佳撰」といったランク付けをしているところもあります。

日本酒のランクの分類方法

では、現在の日本酒はどのように分類されているのでしょうか。分類する上で要となるのは、「米と米麹のみで造られているか」「原料である米をどれだけ削っているか」の2点です。

まず原料の違いから、米と米麹のみで造られた「純米タイプ」、醸造アルコールを添加して造られた「アルコール添加タイプ」の大きく2通りに分けられます。米をどれだけ削っているかを指す「精米歩合」の値によって、さらに細かく分類されます。精米歩合は、玄米から表層部を削り、残った米の割合を%で表したものです。

純米タイプでは、下記のように分類されます。

  • ・純米大吟醸:50%以下
  • 純米吟醸:60%以下
  • 特別純米:60%以下または特別な製造方法
  • 純米:規定なし

アルコール添加タイプでは、下記のように分類されます。

  • 大吟醸:50%以下
  • 吟醸:60%以下
  • 特別本醸造:60%以下または特別な製造方法
  • 本醸造:70%以下

普通酒、醸造酒、純米酒の違い

ここでは、日本酒のランクによる味わいの違いを見ていきましょう。

普通酒の特徴

普通酒は特定名称の日本酒とは異なり、原料や精米歩合、製造工程に決まりがありません。そのため製造にかかるコストも少なく済み、リーズナブルに入手できます。制限がない分、味わいや風味のバリエーションが豊富なことも特徴です。

純米酒

米、米麹、水だけで造られた純米酒は、米本来の旨味や甘味、ふくよかなコクが感じられます。炊き立てのご飯のように、米のおいしさが最大限に活かされた味わいが特徴です。

吟醸酒

吟醸酒は「吟醸造り」という独特の手法で造られており、「吟醸香」と呼ばれる華やかでフルーティーな香りが特徴です。 精米歩合が高いほど、吟醸香が際立つといわれています。のどごしは滑らかで、すっきりと淡麗な味わいです。

本醸造酒

醸造アルコールを添加して造られる本醸造酒は、クリアで爽快な飲み口が特徴です。純米酒のように米の香りと風味は活かしつつも、甘すぎず淡麗な味わいを楽しめます。食中酒や日常酒にもおすすめです。

ランクによる日本酒の違いを楽しもう

今回は、日本酒のランクとはどういうものなのか、分類方法とそれぞれの特徴についてご紹介しました。多種多様な日本酒は、どれが良いのか悩んでしまいがちですよね。原料や精米歩合によるランクの分類を参考にすると、自分好みの日本酒を見つけやすくなります。ぜひ日本酒のラベルに注目して、それぞれの味わいや香りの違いを感じてみてください。