普段何気なく口にしているビール。そのおいしさの反面で、「ビールを飲むと太る」「痛風になる」など、なんとなく身体に良くないイメージを抱く方も多いでしょう。しかし実は、ビールの原料には身体によい栄養素も豊富に含まれているんです。そこで今回は、ビールの原料とそれぞれに含まれる栄養素について詳しくご紹介します。
ビールの原料
そもそもビールは、どのような原料から造られるのでしょうか。ビールの基本的な原料は、麦芽、ホップ、水の3つです。
麦芽とは発芽させた麦のことで、「モルト」とも呼ばれます。麦芽を発酵させることによりアルコールや炭酸ガスを生み出し、ビールの香りや味の成分を形成します。ビール造りに使われるのは、主に「二条大麦」という品種です。小麦やライ麦、オーツ麦が使われることもあります。
日本では酒税法上、ビールとして販売するには「麦芽使用比率が50%以上であること」が定められています。麦芽使用比率とは、水やホップ、酵母を除いた原材料の総重量に対して、麦芽がどの程度の割合を占めているかを示す数値です。
ホップは、アサ科のつる性の多年草植物です。雌株には「毬花(まりはな)」と呼ばれる松かさに似た花のような部分があり、その中に含まれる黄金の粉末「ルプリン」がビールの原料として使われます。ビール独特の苦味や香りを与え、泡の安定化や保存性を高める働きがあります。
そして実はビール造りにおいてとても重要な原料が、水です。ビール造りには大量の水が使用されており、全成分のうち約9割を水が占めていると言われています。ビール造りで使用する水は「醸造用水」と呼ばれ、ビール造りに適した処置が施されています。
3つの主原料以外に、麦、米、とうもろこし、デンプンなどが副原料として使われます。副原料は、ビールの味を調整したり、味のバリエーションを広げたりする役割を担います。
ビールの原料に含まれる栄養素
では、ビールの原料にはどのような栄養素が含まれるのでしょうか。主な栄養素と、その効能について見ていきましょう。
β-グルカン
大麦麦芽には、水溶性の食物繊維である「β-グルカン」が含まれます。β-グルカンは、悪玉コレステロールや内臓脂肪を減らす働きがあります。また腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整える効果も期待できます。水溶性の食物繊維は水に溶けるとゲル状になり、小腸での栄養素の吸収をゆるやかにするため、食後血糖値や食後の血中中性脂肪の上昇を穏やかにしてくれます。
ビタミンB群
大麦麦芽には、ビタミンB1 ・B2・ B6、イノシトール、葉酸、パントテン酸などのビタミンB群が含まれています。ビタミンB群には体内に吸収された栄養素のエネルギー変換を助ける働きがあり、不足すると疲れやすくなります。中でもビタミンB2は、新陳代謝を活発にして、髪や皮膚などを健康的に保つほか、脂肪を燃焼させる効果も期待できます。
イソアルファ酸
古くから薬用植物として知られるホップには、イソアルファ酸が豊富に含まれます。ビール独特の苦みのもととなる成分です。イソアルファ酸は、アルツハイマー病の進行を抑制する効果が期待できます。
ビールは適量を守って飲むことが大切
ビールには健康に役立つ栄養素も豊富に含まれますが、飲みすぎには注意が必要です。厚生省が推進する国民健康づくり運動「健康日本21」では、適度な飲酒量として1日平均純アルコールで約20g程度が目安とされています。ビールだと中びん1本(500ml)くらいの量です。
とはいえ、年齢や性別、体重、生まれ持ったアルコールの分解能力などにより、アルコールの適量にはかなり個人差があります。自分にとっての適量を知り、空腹時を避けたり合間に水を飲んだりして身体を労わりつつビールを楽しみましょう。
身体を労わりつつビールを楽しもう
今回は、ビールの原料とそれぞれに含まれる栄養素について詳しくご紹介しました。ビールの原料には、健康に役立つさまざまな栄養素が含まれています。とはいえあくまでアルコール飲料なので、飲みすぎには要注意。適量を守り、楽しく健康的にビールを味わいましょう。