日本酒と相性バツグンなおつまみの代表格ともいえる焼き鳥。さまざまな部位や味付けがあり1本ごとに個性のある焼き鳥は、日本酒との組み合わせにも悩みますよね。
そこで今回は、日本酒と同様に古くから愛されてきた焼き鳥の歴史、焼き鳥と日本酒のおすすめの組み合わせについてご紹介します。
日本の食文化「焼き鳥」の歴史
日本で古くから親しまれてきた食文化である焼き鳥。焼き鳥の材料である鶏の祖先はもともとは野鳥で、新石器時代末期に家畜として日本に鶏が伝来しました。
焼き鳥の起源となる料理が生まれたのは、平安時代のことです。当時は鶏は食用禁止だったため、主に野鳥が食されていました。
豊作を祈願する京都・伏見稲荷の参道では、稲を食い荒らす害鳥の雀を捕まえ、串に刺して丸焼きにして食べていました。
江戸時代の中期には「合類日用料理抄」という料理本で、鶏を串に刺した調理法が記されています。
「鳥肉を串に刺し、塩をふって焼き、酒を加えた醤油につけて出す」料理として登場しており、これが現在の焼き鳥の原型となっていると言われています。
明治時代には焼き鳥の屋台が登場し、鶏や豚牛の内蔵の串焼きなどバリエーションも豊かになってきました。
昭和初期までは鶏はまだ高級食材でしたが、昭和30年代後半にアメリカからブロイラーが導入されたことで一気に身近な食材となります。大衆焼き鳥店も増えて、日本中で広く愛される食文化となりました。
焼き鳥×日本酒のおすすめの組み合わせ
ここでは、焼き鳥と日本酒のおすすめの組み合わせをご紹介します。
タレの焼き鳥
焼き鳥の中でも定番人気のタレ。タレの焼き鳥には、辛口の日本酒よりも少し甘味のある日本酒を合わせるのがおすすめです。甘辛いこってりとした味わいのタレが日本酒の甘味とよく馴染み、鶏肉の旨味を引き立ててくれます。
塩の焼き鳥
鶏そのものの旨味と味わいをダイレクトに感じられる塩の焼き鳥は、軽くて淡麗な吟醸酒の日本酒を合わせるのがおすすめです。柑橘系の酸味のある日本酒だと、さっぱり爽やかな味わいがよりおいしさを引き立てます。炭火で強めに焼いてしっかり焦げ目をつけた塩の焼き鳥には、少し苦味のある日本酒をリンクさせるとうまくマッチします。
脂の多めな焼き鳥
せせりやぼんじり、皮など脂の多めな焼き鳥には、輪郭のしっかりとした純米酒がおすすめです。キレのある力強い味わいで、焼き鳥の味わいにも負けません。脂と甘味は相性が良いため、フルーティーな香りを持つ甘めの日本酒もおすすめです。焼き鳥にも軽くレモンを絞ると、酸味と甘味がプラスされより相性が良くなります。
焼き鳥の塩分には要注意
相性バツグンな日本酒と焼き鳥を合わせると、つい飲み過ぎ・食べ過ぎになってしまう……という方も多いのではないでしょうか。
焼き鳥は炭火やガスで余計な脂を落としながら焼き上げており、かつタンパク質が豊富な食材である鶏肉が主な材料です。満足度はありながらヘルシーな料理ではありますが、注意したいのは塩分です。
お酒のおつまみとして提供される焼き鳥は濃い目の味付けが多く、特にタレは塩分を多く含みます。
日本酒を飲んでいると、アルコールの利尿作用により体は水分不足になりやすくなります。
さらに塩分を多く含む焼き鳥を食べ過ぎると、体内の塩分濃度はぐっと高まってしまいます。
その結果悪酔いや二日酔い、むくみなどを引き起こし、健康に悪影響です。塩分の高い焼き鳥の食べ過ぎには注意して、日本酒と同じ量の水を飲みながら楽しむと良いでしょう。
焼き鳥と日本酒のマリアージュを楽しもう
今回は、焼き鳥の歴史、焼き鳥と日本酒のおすすめの組み合わせについてご紹介しました。
串1本ごとに日本酒を選び、それぞれの良さを引き立てるマリアージュをじっくりと味わうのも贅沢な楽しみ方です。