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磨き具合で味が変わる!日本酒選びで知っておきたい「精米歩合」とは


日本酒でよく聞く「精米歩合」という言葉。具体的に何を示すのか、よく分からないという方も多いのではないでしょうか。日本酒の主原料である米に大きく関わる指標であり、味わいの決め手のひとつです。精米歩合の意味を知っておくことで、日本酒を選ぶ際の重要な判断基準となります。今回は、精米歩合の意味と、精米歩合によって日本酒はどう変わるのかをご紹介します。

「精米歩合」とは

「精米歩合」とは、精米後の白米の、元の玄米に対する重量の割合を示すものです。玄米から表層部を削って、残った米の割合を%で表します。逆に削った部分の割合を示すのが「精白率」です。精米歩合40%だと精白率は60%となり、お米の周りを60%も削っていることになります。

「玄米は体に良い」というイメージがありますが、米の表層部分にはたんぱく質や脂質、でんぷんなどの重要な栄養素が豊富に含まれています。しかし、これらの成分は日本酒造りにおいては雑味の原因となり、日本酒本来の香りをかき消してしまいます。

米は、「心白」と呼ばれる中心部分になるほど香りが高くなります。この香りを活かして必要のない雑味を防ぐために、日本酒造りでは米の表層部を磨きます。

精米歩合で日本酒はどう変わる?

では、精米歩合によって日本酒はどう変わるのでしょうか。ここでは、味わいと香りそれぞれの変化をご紹介します。

味わいの変化

精米歩合の数値が低いほど米の表層部分が削られているため、雑味が少なくクリアですっきりとした味わいになります。上品さや軽快さのある日本酒が好みの方にぴったりです。

しかし、精米歩合は低いほど良いとは限りません。米の表層部分に含まれる栄養素は、適量であれば旨みのもとにもなります。精米歩合の数値が高い日本酒は、米本来の旨みを活かしたコクがある芳醇な味わいに仕上がります。近年では、あえて精米しないことで複雑な旨みを引き出したり、精米歩合が1桁になるまで磨き上げてクリアな味わいを目指したりする蔵元もあり、多様な好みに対応する日本酒が生み出されています。

香りの変化

精米歩合は、日本酒の香りにも大きな影響をもたらします。お米には脂質が含まれており、フルーティーで華やかな香りを抑制する力があります。脂質はお米の表層部分にしか含まれないため、精米歩合によって脂質の量も大きく異なります。

そのため精米歩合が低く表層部分がより磨かれた日本酒は、含まれる脂質が少ないため、華やかで香り高い日本酒に仕上がります。反対に精米歩合が高い日本酒は、華やかな香りが抑えられて、米本来の香りを活かした仕上がりになります。

精米歩合による日本酒の種類

日本酒は、原料や製造方法などによって分類されます。特定名称別ごとの、精米歩合の規定は以下のとおりです。

  • 普通酒:規程無し(一般に73~75%程度)
  • 純米酒:規程無し
  • 本醸造酒:70%以下
  • 特別本醸造酒:60%以下
  • 特別純米酒:60%以下
  • 吟醸酒(純米吟醸酒):60%以下
  • 大吟醸酒(純米大吟醸酒):50%以下

普段私たちが食べている食用米は、精米歩合がおよそ90%程度と言われています。日本酒造りでは、そこからさらに磨き70%前後が一般的です。大吟醸酒だと精米歩合は50%以下と定められており、玄米の状態から半分以上を削って使われていることが分かります。純米酒は2004年までは「精米歩合が70%以下」という規定がありましたが、2005年より撤廃されました。

精米歩合で大きく異なる日本酒の味わい

今回は、精米歩合の意味と、精米歩合によって日本酒はどう変わるのかをご紹介しました。

時間をかけて丁寧に精米された過程を思うと、何気なく飲んでいる日本酒が贅沢な品に感じられます。しかし精米歩合は低ければよい、高ければよいというものではなく、さまざまな要素が絡み合い複雑な味わいを作り出しているのが日本酒の魅力です。

京仕込キンシ正宗では、創醸天明元年(1781年)より京都の水と酒米、そして麹造りにとことんこだわった酒造りを続けています。精米歩合をひとつの目安として、日本酒選びを楽しんでください。