温度で異なる日本酒の魅力。温度別の呼び方と楽しみ方

2025年1月17日

日本酒は、温度帯によって味わいや香りの感じ方が異なる世界でも珍しいお酒です。

同じ日本酒でも、気分や季節に応じた楽しみ方ができるのは、日本酒の大きな魅力のひとつ。

そこで今回は、温度による日本酒の味わいの変化と、温度別の日本酒の呼び方、温度ごとの日本酒の楽しみ方についてご紹介します。

温度で変わる日本酒の味わい

温度によって、日本酒の味わいはどう変化するのでしょうか。ここでは、冷やして飲む場合、常温で飲む場合、温めて飲む場合のそれぞれの味わいの特徴について見ていきましょう。

日本酒を冷やして飲むと、口当たりがさっぱりと爽やかになり、後味がクリアで飲みやすくなります。

一般的には冷やすほど甘味が感じにくくなり、酸味や苦み成分が引き立つため、キリっと引き締まったシャープな味わいを楽しめます。

また冷やすことで香りが穏やかになるため、「日本酒独特の香りが苦手」という方は冷やすことで飲みやすくなるでしょう。

常温の日本酒はだいたい15～25℃で、日本酒本来の繊細な味わいが最もよく分かる温度とされています。テイスティングをする際も、15℃くらいの温度で行われることが多いようです。

口当たりはまろやかで、日本酒のフレッシュさや淡麗な味わいが口の中にやさしく広がります。

そもそも冷蔵庫がなかった時代は、日本酒は常温で飲むか温めて飲むかのどちらかでした。

冬は少し冷たくキリっと、夏はぬるめで口当たり良く、季節によって感じ方が異なるのも面白いところです。

日本酒は温めることで、原料であるお米の旨みや甘みが引き出されます。酸味や渋みも一体化して旨みとなり、全体的にふくよかな味わいを楽しめるのが特徴です。また香りも豊かに感じられます。

日本酒の「冷酒」「冷や」「熱燗」とはよく聞きますが、実はもっと細かい温度で区別された呼び名があります。

ここでは、細かい温度別の日本酒の呼び方についてご紹介します。

冷酒は、冷蔵庫や氷で8~15℃くらいに冷やした日本酒の総称です。15℃前後は「涼冷え」、10℃くらいは「花冷え」、5℃くらいは「雪冷え」と呼ばれます。さらに凍らせて飲む「みぞれ酒」もあります。

燗酒は、湯煎や電子レンジ、直火などで30～55℃くらいに温めた日本酒の総称です。日本酒を器に入れて温めることを「燗をつける」と言うことから、燗酒と呼ばれるようになりました。

30℃くらいは「日向燗」、35℃で「人肌燗」、40℃で「ぬる燗」、45℃で「上燗」、50℃で「熱燗」、55℃以上だと「飛び切り燗」と細かく呼び名が変わります。

日本酒本来の味わいを引き出すにはそれぞれ適した温度があり、日本酒によってはおすすめの温度が記されていることもあります。

冷酒でおいしく飲めるおすすめの日本酒は、フレッシュさや香味が際立つ「生酒」、雑味が少なくクリアな味わいの「大吟醸酒」、アルコール度数が高くシャープな味わいの「原酒」などです。

燗酒で楽しむなら、米本来のふくよかな味わいが特徴の「純米酒系」がおすすめです。

温度ごとの日本酒をより楽しむには、料理に合わせて日本酒の温度を変えるのも良いでしょう。

たとえばキリっと冷えた刺身やおかずをおつまみにするなら冷酒、熱々の鍋や煮込み料理と味わうなら燗酒のように、料理の温度に合わせることで相性良く楽しめます。

また温度によって、日本酒を注ぐ器にもこだわってみましょう。冷やや冷酒にはクリアな風合いが涼しげなグラスや切子、燗酒にはふっくらと素朴な質感が魅力のお猪口やぐい呑みがよく合います。

今回は、温度による日本酒の味わいの変化と、温度別の日本酒の呼び方、温度ごとの日本酒の楽しみ方についてご紹介しました。

キリっと爽やかな冷酒、味のバランスがよく繊細な味わいを存分に楽しめる冷や、米のふくよかな旨みと甘みが広がる燗酒と、日本酒は温度によってさまざまな楽しみ方ができます。

ぜひ好みの温度帯で、日本酒を楽しんでみてください。