日本酒の味わいを表現する言葉として「甘口」や「辛口」はよく耳にしますが、中には「旨口」と謳っているものもあります。
どのような味わいなのか、疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、旨口の日本酒の特徴や、旨口の日本酒を楽しむポイント、相性の良い料理などについてご紹介します。
「旨口」の日本酒とは
旨口の日本酒は、原料であるお米のふくよかな旨みや甘みを楽しめるのが特徴です。コクと奥行きのある味わいで、長く余韻を感じられます。
乳製品を思わせる控えめでやさしい香りで、長時間飲んでも飽きません。一般的に「生酛造り」「山廃仕込み」などの日本酒は、旨口にあたります。
日本酒の味わいは「甘口」「辛口」で表現されることが多いですが、実際には甘口の日本酒の多くは「旨口」とも言えます。
甘口と辛口を見分ける際には、お酒の中の糖分の比重を数値化した「日本酒度」や、日本酒に含まれるアミノ酸の量を示す「アミノ酸度」が判断基準になります。
一般的に、日本酒度がマイナスのものやアミノ酸度が高いものは甘口、日本酒度が+2.0以上やアミノ酸度が低いものは辛口に感じられます。
アミノ酸は旨みやコクを生み出す成分なので、アミノ酸度が高い甘口の日本酒ほど旨みが強く、「旨口」と表現されることもあります。
旨口の日本酒は、大きく「芳醇旨口」と「淡麗旨口」の2種類に分けられます。
芳醇旨口の日本酒は、米本来の濃厚な甘みを活かしたみずみずしい味わいと、フルーティーな香りが特徴です。
とろりとしたやわらかい口当たりで、後味はマイルドです。淡麗旨口の日本酒は、すっきりと軽快な飲み心地ながら、ふくよかな旨みを感じられるのが特徴です。冷酒や常温、ぬる燗など、さまざまな温度帯で楽しめます。
旨口の日本酒を楽しむポイント
冷酒や冷や、燗酒など、さまざまな温度帯で楽しめるのは日本酒の魅力のひとつ。旨口の日本酒を最大限に楽しむには、飲む温度も重要なポイントです。
一般的に、日本酒は冷やすことで香りが穏やかになり、飲み口がキリっと引き締まります。
反対に温めると香りが引き立ち、旨みや甘みを感じやすくなります。
そのため旨口の魅力である米由来の香りや味わいを活かすためには、20度以上で飲むのがおすすめです。40~45度まで温めると、酸味の角が取れマイルドになり、飲みやすくなります。
さらに50度以上まで上げると、米の香ばしさが増して、酒の香りを強く感じられます。まずは常温に近い20度で試して、好みに合った飲み方を見つけてみましょう。
また、酒器によっても日本酒の香りや味わいの感じ方は異なります。旨口の日本酒は香りが穏やかなため、鼻先を近づけて飲むぐい吞みやおわん型の酒器がおすすめです。
旨口の日本酒に合う料理
米のふくよかな旨みを感じられる旨口の日本酒は、基本的にどんな料理ともよく合いますが、おすすめはしっかりと味付けされた濃厚な料理です。
すき焼きや手羽先の甘辛煮のように醤油やみりんで甘辛く味付けした料理、鯖やいわしなど程よく脂がのった青魚とはよく合います。
またチーズや味噌など発酵食品、チョコレート系の洋菓子とも相性が良く、日本酒が料理の風味を包み込んでくれます。
米由来のおいしさを活かした旨口の日本酒
今回は、旨口の日本酒の特徴や、旨口の日本酒を楽しむポイント、相性の良い料理などについてご紹介しました。
コクと奥行きのある味わいで、お米から造られる日本酒本来の魅力を存分に感じられる旨口の日本酒。お米の旨みや甘みを際立たせており、さまざまな料理とよく合うので、食中酒としても楽しめます。