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日本酒の「酒造年度」とは。ラベルから読み解く日本酒の謎


日本酒のラベルや飲食店のメニューで、「30BY」「2023BY」などの表記を見たことはありませんか?

これは「酒造年度」というもので、その日本酒が搾られた期間を示します。

同じ日本酒でも、絞られた年によっては味わいや香りが大きく変わることもあるため、日本酒を選ぶ際には酒造年度がひとつの判断基準になります。

今回は、日本酒の酒造年度の歴史や表記ルール、製造年月との違いなどについて詳しく解説していきます。

 

酒造年度とは

酒造年度とは、日本酒造りにおける醸造年度のことを指します。酒造年度を表記するBYは、 お酒の醸造年度/酒造年度を示す「Brewery Year」の略です。

日本酒は、基本的に秋~春にかけて造られます。そのため日本酒造りにおいては、お米の収穫が始まる頃の7月1日から翌年6月30日を1年として区切ります。

酒造年度は「製造年度+BY」と表記され、たとえば平成30年・2018年に造られた日本酒は「30BY」「2018BY」と表記されます。

これまでは和暦表記が一般的でしたが、年号が平成から令和に変わったことで、平成一桁に造られた日本酒と令和に入ってから造られた日本酒が紛らわしくなりました。

分かりやすく表記するため、近年では、西暦表記のものも多く見られます。

そもそも酒造年度が生まれたのは、明治29年に制定された「酒造税法」(現在の酒税法)が始まりです。

目的は、酒税収入の基本となる酒類の製造数量を把握することです。現在の区切りとは異なり、毎年10月1日から翌年9月30日が酒造年度として定められていました。

清酒の醸造は10月頃から始まることが多く、暦年や会計年度を基準にすると、製造期間の中途で年度が変わることになります。

税務検査上で不便だったり、原料である米の収穫時期に合わせた方が製造計画を立てやすかったことなどから、酒造年度の区切りが決められました。

昭和40年には国税庁の通達により、現在の区切りである7月1日~翌年6月30日に変更されます。今でも当時の酒造年度の名残りで、10月1日を「日本酒の日」として各地でイベントなどが催されています。

 

日本酒ラベルの「BY」の表記ルール

日本酒ラベルを見ていると、酒造年度が表記されているものとされていないものがあります。

実はBYの表記は、義務付けられているものではありません。もともと日本酒では、ワインと異なり熟成という概念があまり一般的ではありませんでした。

ほとんどの日本酒は造られてから1年ほどで消費されていたため、酒造年度を記載せずに販売されているものも多くありました。

しかし近年では熟成酒の魅力も広まりつつあり、徐々に酒造年度の表記が普及しています。異なる醸造年度のお酒を組み合わせたブレンド酒では、BYの表示は行わないことが多いです。

製造年月との違いは

よく混同されがちですが、製造年月と醸造年度は同じとは限りません。製造年月は、ろ過・火入れ・貯蔵といった工程を経て、瓶やパックに詰められた年月を指します。

日本酒を絞ってから瓶詰するまでにタンクで寝かして熟成したものは、製造年月と醸造年度にずれが生じます。

違いを見極めるには、表記の仕方に注目しましょう。醸造年度の表記には必ず「BY」が付きますが、製造年月は「2019.9」と年月が印字されるのみです。

 

日本酒への理解が深まる酒造年度

今回は、日本酒の酒造年度の歴史や表記ルール、製造年月との違いなどについて詳しくご紹介しました。

日本酒は、熟成されることで重厚で深い味わいになり、まろやかなコクが生まれます。

酒造年度に注目することで、長期熟成された歴史のある日本酒を見極めることができます。特に熟成酒が好みの方は、ぜひ酒造年度に注目して日本酒を選んでみてください。