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日本酒の甘口・辛口を知る。「日本酒度」「酸度」「アミノ酸度」とは?


米、水、米麹とシンプルな原料で作られる日本酒。日本酒と一口に言っても、その味わいは多岐にわたります。「どれを選んだらよいか分からない」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。そこで日本酒の味わいを知る基準となるのが、「日本酒度」「酸度」「アミノ酸度」といった3つの数値です。今回は、それぞれが何を示すのか、どのように選んだらよいのかをご紹介します。

「日本酒度」とは

日本酒の味わいを表現するのによく使われるのが「辛口」「甘口」という言葉。一般的には、日本酒の中にどのくらいの糖分が含まれているかで辛口か甘口かが決まります。その判断基準となるのが「日本酒度」です。

日本酒度とは、日本酒の比重を表す数値です。日本酒に「日本酒度計」と呼ばれる特別な浮秤を浮かべて測定します。普通の水を基準にした場合、糖分は重くアルコールは軽いため、糖分が多く含まれるほど液体は重くなります。日本酒度ではこの比重の違いを利用し、日本酒に含まれる糖分の量を判断することができます。プラスになるほど糖分が少なく辛口、マイナスになるほど糖分が多く甘口の日本酒です。

甘口か辛口かは、日本酒度だけでなく酸度やアミノ酸度によっても左右されますが、一般的には以下が日本酒度の目安です。

  • ‐3.5~‐5.9が「甘口」
  • ‐1.5~‐3.4が「やや甘口」
  • +1.5~+3.4が「やや辛口」
  • +3.5から+5.9が「辛口」

中には日本酒度が+10を超える「超辛口」の日本酒もあります。

日本酒の「酸度」とは

日本酒は発酵させる過程の中で、乳酸、コハク酸、リンゴ酸といったさまざまな有機酸やアミノ酸が生成されます。有機酸は日本酒に酸味や旨みをもたらし、日本酒の味わいを決める重要な成分です。この有機酸の含有量を示すのが「酸度」です。日本酒度とともに、日本酒の味わいの判断基準となります。

日本酒度が同じ酒で比べると、酸度が高いと甘味が打ち消され辛くて濃く、逆に酸度が低いと甘くて淡麗に感じます。

近年の日本酒の酸度は、1.16〜1.22ほどが平均です。「酸度が高い」と聞くと酸っぱいイメージがありますが、高いほどに辛く、キレのある濃醇な味わいに仕上がります。逆に酸度が低いと、淡麗で甘い味わいになります。

「アミノ酸度」とは

日本酒には、人の体内で生成できない「必須アミノ酸」であるバリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジンなど、さまざまなアミノ酸を含みます。アミノ酸は筋肉や臓器などのタンパク質を作り健康維持に役立つほか、酒のコクや旨味のもとになり日本酒の味わいを左右します。「アミノ酸度」とは、日本酒に含まれるアミノ酸の量を相対的に表す数値です。

近年の日本酒の平均的なアミノ酸度は、1.23〜1.39です。アミノ酸度が高いほど、お米本来の甘さやコクをより強く感じられます。しかしただ高ければいいものではなく、甘口でアミノ酸度が高いと、独特な苦味やくどさを感じてしまうこともあります。

数値はあくまで目安!奥深い日本酒の味わい

日本酒の味わいは、甘辛や酸味、苦味、渋味などが複雑に絡み合って構成されています。そのため、日本酒度、酸度、アミノ酸度はあくまで目安です。酒ききのベテランでも日本酒の甘辛をはっきり判断するのは難しく、温度や一緒に食べるものによっても味わいの感じ方は大きく異なります。例えば同じ日本酒を飲んでも、甘いものを食べた後だと酸味や辛みを強く感じ、逆に酸味や辛みのあるものを食べた後だと甘く感じることもあります。

好みの日本酒の味わいを見つけよう

今回は、日本酒の味わいを示す「日本酒度」「酸度」「アミノ酸度」の3つの数値についてご紹介しました。これらの数値は、日本酒のラベルに記載されていることが多いです。購入前に数値をチェックすることで、どんな味わいかイメージしやすくなります。

京仕込キンシ正宗では、創醸天明元年(1781年)より京都の水と酒米、そして麹造りにとことんこだわった酒造りを続けています。今回ご紹介した数値をひとつの判断基準として参考にしつつ、好みの日本酒の味わいを見つけてみてください。