どちらも日本を代表する伝統的な発酵食品である日本酒と味噌。
実はこの2つ、驚くほど相性が良いのをご存じですか?
味噌の種類や生産地によって豊かな個性を持つ味噌に、日本酒を合わせることで、それぞれの味わいがより一層引き立ちます。
今回は、日本酒と味噌が合う理由、味噌別のおすすめ日本酒、日本酒と味噌料理のペアリング例についてご紹介します。
味噌と日本酒はなぜ相性が良い?
味噌と日本酒の相性の良さは、発酵によって生まれる旨味の相乗効果から生まれます。
味噌と日本酒は、どちらも米や麹などを原料とした発酵食品です。製造過程で共通するのは、「麹菌」の働きを利用している点です。
味噌では、米麹や豆麹に麹菌を繁殖させ、たんぱく質を分解してアミノ酸に変え、コクや旨味を生み出します。
一方、日本酒では、麹菌が米のでんぷんを糖に分解することで、酵母がアルコールを生成できる環境を整えます。
つまり麹菌は、味噌では「旨味の素」を、日本酒では「酒の素」となる糖を生む、どちらにも欠かせない存在なのです。
麹菌によって生まれる深い味わいや香り、旨味成分などが重なり合い、味噌と日本酒の互いの魅力を一層引き立てます。
また、日本酒の柔らかな甘みや酸味が、味噌のコクや塩味を引き立てることで、食中酒としておいしく楽しめます。
日本酒は温度帯によっても印象が変わるため、味噌の種類や料理に合わせて温度を変えることで、より一層ペアリングの楽しみが広がります。
さらに注目したいのが「地域性」です。たとえば東北地方の濃い赤味噌と、同じくこの地域で造られる力強い辛口の日本酒は、土地の気候や食文化に根ざした自然な組み合わせです。
味噌の種類別・相性の良い日本酒
味噌も日本酒もさまざまな種類があるため、組み合わせも無限大です。ここでは味噌の種類別に、相性の良い日本酒をご紹介します。
赤味噌×濃醇辛口の日本酒
豆味噌や八丁味噌に代表される赤味噌は、熟成期間が長く、力強いコクと独特の渋みが特徴です。
このタイプの味噌には、旨味と酸味がしっかりとした濃醇辛口の日本酒がよく合います。
たとえば赤味噌を使った濃厚な煮込み料理に、辛口の純米酒を燗酒にして合わせると、味噌の奥深い旨味と日本酒の力強さが絶妙にマッチします。
白味噌×やさしい甘口の純米酒
米麹を多く使って仕込まれる白味噌は、上品な甘みとまろやかな口当たりが魅力です。
やさしい味わいの白味噌には、柔らかな甘口の純米酒がぴったりです。
京風の白味噌を使ったお雑煮や酢味噌和えに、ひんやり冷やした甘口の日本酒を合わせると、素材の味を邪魔せず引き立ててくれます。
控えめな甘み同士がふわりと重なり、まるで和菓子のような上品さを楽しめる組み合わせです。
合わせ味噌×バランス型の吟醸酒
赤味噌と白味噌をブレンドした合わせ味噌は、まろやかさとコクのバランスが取れた万能型の味噌です。
これには、華やかな香りと軽快な口当たりを持つ吟醸系の日本酒が相性抜群です。
風味豊かな合わせ味噌を使った料理に、すっきりとした吟醸酒を合わせれば、香りと味の調和が取れた絶妙なペアリングになります。
冷やしても常温でも、幅広い温度帯で楽しめるのも魅力です。
日本酒と味噌料理のおすすめペアリング
ここでは、日本酒と味噌料理のおすすめペアリングを見ていきましょう。
味噌田楽×山廃仕込みの純米酒
甘辛い味噌ダレを乗せた田楽には、コクと酸味のある山廃仕込みの純米酒がよく合います。
とろりとした味噌ダレに、しっかりとした日本酒が負けずに寄り添い、濃厚ながらも重たすぎない絶妙なバランスになります。
冷やしても常温でも楽しめますが、少し温めて燗酒にすると、味噌の甘みがより引き立ちます。
味噌汁×すっきりとした本醸造酒
シンプルな味噌汁も、合わせる日本酒次第でぐっと味わい深くなります。
すっきりとした飲み口の本醸造酒は、出汁の香りを活かした味噌汁との相性が抜群です。
特にアサリや豆腐など、素材の風味を感じられる味噌汁と合わせるのがおすすめです。日本酒のキレが口の中をリセットしてくれて、何杯でも飲みたくなります。
豚の味噌焼き×コクのある純米吟醸酒
甘辛い味噌ダレで漬け込んだ豚肉を香ばしく焼いた料理には、旨味が凝縮されたコクのある純米吟醸酒が最適です。
肉のジューシーさと、香ばしい味噌の香りに、日本酒のふくらみある味わいが溶け込みます。
常温で飲むと日本酒のまろやかさがより引き立ち、豚肉の旨味と味噌のコクをしっかり受け止めてくれます。
味わい深い日本酒と味噌のペアリング
今回は、日本酒と味噌が合う理由、味噌別のおすすめ日本酒、日本酒と味噌料理のペアリング例についてご紹介しました。
日本酒と味噌は、どちらも発酵の力で旨味を引き出した、日本が誇る食文化です。
日本の食卓では定番の味噌料理ですが、日本酒を合わせることで互いの旨みを引き立てて、より味わい深く楽しめます。ぜひ味噌と日本酒の絶妙なペアリングを試してみてください。