実りの秋を迎え、スーパーでも新米を見かけるようになりました。つやつやピカピカ、真っ白に炊きあがる新米は、この時期ならではのご馳走です。
しかし「まだ家に古米が残っている」という方も多いのではないでしょうか。古米でもおいしく炊くには、日本酒を使うのがおすすめです。
今回は、炊飯に日本酒を使うとおいしくなる理由と、日本酒を使った炊飯のコツについてご紹介します。
炊飯に日本酒を使うとおいしくなる!
「炊飯時に日本酒を加えると、お米の風味を邪魔してしまうのでは……」と心配になるかもしれませんが、日本酒はお米を主原料として造られるお酒です。アルコールは加熱によって蒸発するため、お米本来の味わいを邪魔することはありません。
日本酒を加えて炊飯すると、一粒一粒にツヤが出て、ふっくらとおいしく炊きあがります。またお米の甘みが増して、お米本来のおいしさをしっかりと感じられます。
お米には賞味期限や消費期限はなく、虫やカビさえ発生していなければ長期間保存していたものでも食べられます。しかしお米の鮮度は精米した直後から落ちていくため、お米に含まれる水分が失われることで芯が硬くなったり、パサつきや臭みが出たりすることもあります。
このような古米も、日本酒を加えることでパサつきが改善され、ふっくら炊きあがります。
日本酒でご飯がおいしくなる理由
では、なぜ日本酒を加えて炊飯するとご飯がおいしくなるのでしょうか。
日本酒には、主原料であるお米由来の糖分が豊富に含まれます。炊飯時に日本酒を加えることで、この糖分によってお米の甘味がプラスされ、噛むほどに甘さを感じられるようになります。
また、日本酒のアルコール成分もご飯をおいしくする秘訣です。穀類や野菜など植物性の食品は、調理することででんぷんやたんぱく質が溶け出し、煮崩れを起こしやすいです。
アルコール成分には、でんぷんやたんぱく質が溶け出すのを防ぎ、食品に含まれる水分をキープしてくれる働きがあります。この働きにより、日本酒を加えて炊飯したお米は保水効果が高まり、粒が立ったふっくらとした仕上がりになります。
日本酒を使った炊飯のコツ
日本酒を使った炊飯の方法はいたって簡単で、炊飯器で炊くときに少量の日本酒を加えるだけです。普段通りにお米を研いだら、日本酒を入れて、炊飯器のメモリに合わせて水を注ぎます。
日本酒の量は、お米3合に対して大さじ1~2杯程度が目安です。入れすぎると、炊き上がったときに日本酒の風味やアルコール感が残ってしまうことがあるため注意しましょう。
炊飯に使う日本酒は何が良い?
炊飯に使う日本酒はどんなものでも大丈夫ですが、おすすめは「純米酒」です。純米酒は、醸造アルコールを使用せず、お米、米こうじ、水のみを原料として造られたシンプルなお酒です。そのため炊飯に使ってもお米本来の味わいを邪魔することなく、おいしく炊き上がります。
日本酒は長期間の保存が可能ですが、とてもデリケートで品質が変わりやすいお酒でもあり、保存環境によっては本来の香りや味わいが変化してしまうこともあります。
「本来のおいしさが損なわれてしまい、そのまま飲んでも楽しめない」という日本酒を、炊飯用に使うのも良いでしょう。
しかし香りや色が著しく変化している場合は、お米の味わいにも悪影響を及ぼしてしまうこともあります。古い日本酒を使う際は、入れる前に透明なグラスに注いでみて日本酒の状態をチェックしましょう。
日本酒でお米をおいしく
今回は、炊飯に日本酒を使うとおいしくなる理由と、日本酒を使った炊飯のコツについてご紹介しました。
炊飯時に日本酒を少し入れるだけの一手間で、いつものご飯がツヤツヤふっくらとおいしく炊き上がります。パサつきが出ておいしさが落ちてしまった古米が手元にある方は、試してみる価値ありです。