自宅で日本酒を飲む際、どんな器を使っていますか?さまざまな要素が絡み合い繊細な味わいを持つ日本酒は、使う器によっても風味の感じ方が異なります。日本酒を存分に楽しむためには、器は見た目だけでなく、よりおいしく味わえる形状や素材にもこだわりたいもの。そこで今回は、日本酒にぴったりなグラスの選び方をご紹介します。
グラスによって日本酒の味わいは変わる!
「同じものを飲んでいるんだから味わいは変わらないだろう」と思う方もいるかもしれません。しかし人が「甘味、酸味、辛味、苦味、渋味」といったいわゆる五味を感じる部分は、舌の場所によって異なります。たとえば甘味は舌先、塩味は舌先の外側、酸味は舌の奥の方の外側で感じやすいと言われています。グラスの形状によって舌の形が変わるため、微妙な位置の変化でも味の感じ方は違ってくるのです。
また、人が「おいしい」と判断するのは味覚だけではありません。見た目の美しさやお酒の香り、舌触り、喉越しなどさまざまな情報もおいしさを左右する要因になります。五感のすべてを使って総合的に日本酒のおいしさを感じるため、どんなグラスを使うかも重要です。
サイズによる違い
日本酒は非常に繊細なお酒なので、温度によって香りや味わいが大きく左右されます。グラスが大きいと飲み切るまでに時間がかかるため、温度によって日本酒の味わいが変化してしまいます。
日本酒ロックにして味わいの変化を楽しみたいときは大きめのグラスでも良いですが、味わいが変化しないうちに飲み切るなら自分が飲む量やペースに合わせたサイズを選ぶのがおすすめです。
形状による違い
グラスの形状によって、日本酒の香りの広がり方や口当たりが変わります。飲み口が外側に広がっていればいるほど、日本酒が空気と触れる面積が大きくなり、日本酒が持つ芳醇な香りを強く感じられます。また舌の両脇に日本酒が入り込み、濃厚な風味を味わえます。逆に飲み口が狭まったグラスは、すっきりとした軽い味わいを楽しみたいときに適しています。
器の厚さは、厚いほど口当たりがまろやかになるため、じっくり時間をかけて味わいたいときにおすすめです。薄いとシャープな味わいとなり、日本酒の繊細な味わいをしっかりと楽しめます。
素材による違い
グラスの素材は、見た目だけでなく、日本酒の味わいや口当たりが大きく変化する重要な要素です。たとえば陶磁器は、味をまろやかにする効果があると言われています。主に熱燗に適しており、日本酒をゆっくりと味わいたい方におすすめです。
日本酒本来の繊細な味わいを損ねることなくダイレクトに感じたいなら、無味無臭のガラスのグラスが向いています。透明なガラスなら日本酒の色味も確認できるため、複数の日本酒を飲み比べたいときにもぴったりです。
金属で代表的なグラスの素材では錫があります。熱伝導性に優れており、サビや腐食に強いため長く愛用できるのが魅力です。日本酒を冷たいまま保ってくれるため、暑い時期にさっぱり爽やかな飲み口を楽しみたいときにおすすめです。
漆器は熱を伝えにくい性質があり、軽い口当たりで熱燗も飲みやすくしてくれます。高級感のある見た目で、あらたまった席でもよく使われます。
とっておきのグラスで家飲みを楽しんで
今回は、日本酒にぴったりなグラスの選び方をご紹介しました。日本酒のおいしさに器が与える影響は、意外と大きいもの。どのような日本酒を、どのように味わいたいか、シーンに合わせたグラスを選ぶことで家飲みの楽しみはぐっと広がります。
京仕込キンシ正宗では、創醸天明元年(1781年)より京都の水と酒米、そして麹造りにとことんこだわった酒造りを続けています。ぜひとっておきのグラスを揃えて、いつもの日本酒の味わいがどれくらい変化するか実感してみてください。