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ビールの“苦味”はこうして決まる。苦味の正体や味わいを徹底解説


爽快な喉ごしや多彩な味わいなど、ビールの魅力は多々ありますが、中でも特徴的なのが苦味。

一口飲んだ瞬間、口の中に広がる苦味は、ビールの味わいを決定づける重要な要素です。

しかしこの苦味の正体、意外と知らないという方も多いのではないでしょうか。

今回は、ビールの苦味の正体や「IBU」、苦味が強いビールの種類、そして苦味を楽しむポイントについてご紹介します。

ビールの苦味の正体とは

ビールの苦味は、主にホップに含まれる「α酸」という成分によって生まれます。

ホップはつる性の多年草で、ビール造りに欠かせない植物です。ホップの花には「ルプリン腺」と呼ばれる黄色い粉状の部分があり、ここに苦味成分である「α酸」や、香りの元となる精油成分が凝縮されています。

またホップは古くから防腐効果があるとされ、ビールの保存性を高める役割も担っています。

ホップは、ビール造りの過程で煮沸して使用します。苦味成分のα酸はそのままでは苦味を感じにくく、煮沸時間が長くなるほどα酸がよく抽出され、苦味が強くなる傾向があります。

また、ホップの品種によって苦味の質や香りが異なるのも面白いポイントです。

例えば、柑橘系の香りを持つホップは苦味の中にもフルーティーな爽やかさを感じさせます。

 

ビールの苦味を示す数値「IBU」

IBUとは「International Bitterness Units」の略で、ビールの苦味の強さを示す国際的な単位です。数値が高いほど苦味が強いことを意味します。

日本の一般的なビールは15〜30程度で、飲みやすい苦味です。一方、IPA(インディア・ペール・エール)などのホップを大量に使ったビールは50以上になることも珍しくありません。

苦味の感じ方は人それぞれ異なるため、自分好みの苦みを見つけたいときはIBUを目安にすると分かりやすいでしょう。

 

苦味の強いビールの種類

苦味が際立つビールにはさまざまなタイプがあります。

代表的なのは、「IPA(インディア・ペール・エール)」です。IPAはホップの華やかな香りと強い苦味が特徴で、フルーティーな香りとともに爽快感を楽しめます。

インペリアルIPAやダブルIPAは、IPAの苦味と香りをさらに強調したタイプです。

スタウトやポーターは麦芽をローストしており、ビターな苦味が特徴です。

スタウトは苦味が強めですが、ポーターはややマイルドでロースト感が豊か。どちらもコクのある料理と好相性です。

ラガーは比較的穏やかな苦味で、後味がすっきりしています。

ピルスナーはラガーの一種でホップの苦味がやや強く、爽やかな香りが楽しめます。

 

ビールの苦味を楽しむポイント

ビールの苦味は、飲む温度やグラスの形状によって印象が変わります。

冷やすと苦味は控えめに感じられ、ぬるめにすると苦味の輪郭がはっきり出ます。

薄めのグラスは香りを逃しにくく、苦味も豊かに感じやすいです。好みや気分に合わせて、温度やグラスで調整すると良いでしょう。

また、食事と合わせると苦味はより引き立ちます。特に揚げ物や塩味の強い料理とは相性抜群で、苦味が油の重さや塩気を引き締め、味わいのバランスを良くしてくれます。

フライドチキンやポテトチップスのような料理と、苦味の強いビールを一緒に飲むことで、口の中をさっぱりとさせて、それぞれの味を引き立て合います。

濃厚なソースを使った料理と合わせるのもおすすめです。濃い味付けのバーベキューソースやクリームソースには、苦味のしっかりしたビールが料理の味を際立たせます。

 

まとめ

今回は、ビールの苦味の正体や「IBU」、苦味が強いビールの種類、苦味を楽しむポイントについてご紹介しました。

ビールの苦味は、ホップ由来のα酸から生み出されるものです。IPAやインペリアルIPAのような苦味の強いビールから、マイルドなラガーまで、ビールの苦味の幅は広く、さまざまな楽しみ方があります。

飲む温度やグラス選び、そして食事との組み合わせ次第で苦味の印象は大きく変わります。苦味に注目して、ビールの新たな魅力を発見しましょう。