ビールというと洋食のイメージが強いかもしれませんが、実は和食とも相性抜群です。
和食と合わせることで、料理の繊細な味わいが引き立ち、ビールの旨味や香りもより深く楽しめるようになります。
今回は、ビールと和食が合う理由や種類別のおすすめペアリング、楽しむためのポイントについてご紹介します。
なぜビールと和食は相性が良いのか?
そもそも和食は、「旨味」を大切にする、世界でも珍しい食文化です。
旨味は甘味・酸味・塩味・苦味と並ぶ“第5の味覚”とされ、日本で1908年に発見されたグルタミン酸などによる味成分です。
和食では、この旨味を活かすために、昆布・かつお節・干し椎茸といっただし文化が発展しました。
油や香辛料に頼らない、素材重視の繊細な味付けが和食の特徴です。
そこにビールのほどよい苦味が加わることで、味にアクセントを生みつつ、うま味の層を壊さずに調和します。
またビールの炭酸には口の中をリセットする作用があり、繊細な味わいの和食を引き立ててくれます。
ビールの種類別おすすめ和食ペアリング
ビールのスタイルは世界に100種類以上あると言われ、味わいや香りは非常に多岐にわたります。
和食とどう合わせたらよいか悩んでしまいますよね。そこでここでは、ビールの種類別におすすめの和食とのペアリングをご紹介します。
ラガービール
ラガービールは低温でじっくり発酵させる下面発酵ビールです。クセが少なくスッキリとした喉ごしが特徴で、日本でも広く親しまれています。
お刺身や塩味の焼き魚、天ぷらなど、素材の味を活かした料理と相性が良く、料理の繊細さを邪魔しません。
脂っこい唐揚げや豚の角煮なども、ラガーの爽快な喉ごしで口の中をリフレッシュしてくれます。
エールビール
エールビールは高温で短期間発酵させる上面発酵ビールで、香り豊かでコクのある味わいが魅力です。
種類も豊富で、ペールエールやIPAなど様々なスタイルがあります。
醤油や味噌を使った照り焼き、肉じゃが、筑前煮など、やや甘辛い味付けの料理と調和します。
スパイスのきいた和風カレーや山椒を使った料理とも相性が良く、味の一体感が生まれます。
スタウト
スタウトは焙煎した麦芽を使った濃厚な味わいが特徴のビールです。ロースト感とほんのりとした甘味が感じられます。
漆黒の液体の見た目から「黒ビール」とも呼ばれます。
焼き鳥のたれ味、牛すじ煮込み、鰻の蒲焼きなど、濃いめの味付けの料理によく合います。
ほんのり感じるチョコレートのような甘味が、甘辛い濃厚な味わいを優しく包み込んでくれます。
ピルスナー
ピルスナーはラガーの一種で、チェコ発祥の黄金色のビールです。爽やかなホップの香りとキレのある苦味が特徴です。
天ぷらや春巻き、鶏の唐揚げなどの揚げ物全般と好相性で、油をさっぱりと洗い流してくれます。
ピルスナーのキレの良さが、和食の繊細な風味を際立たせてくれます。
ヴァイツェン(小麦ビール)
ヴァイツェンはドイツ発祥の小麦を原料にしたビールで、バナナやクローブを思わせるフルーティーな香りが特徴です。
泡立ちが豊かで口当たりもやわらかく、女性にも人気があります。
白和え、冷奴、酢の物、胡麻和えといったさっぱりとした和え物に合わせると、料理の優しい味を引き立てます。
ほのかな甘みと柔らかな口当たりが、食事に華やかさを添えてくれます。
ビール×和食のペアリングを楽しむポイント
ビールのペアリングの基本は、料理とビールの味の強さを合わせること。たとえば繊細な和食には軽めのビールを、濃い味付けにはコクのあるビールを選ぶとバランスが取れます。
ビールの味わいは温度によって大きく変化するため、冷やしすぎには注意が必要です。ラガーやピルスナーは5〜7℃、エールやスタウトは10〜12℃程度が飲み頃とされています。
また、ビールの種類に合わせたグラス選びも重要です。香りを楽しみたい場合は、口の広いグラスを使うのがおすすめです。
和食とビールの組み合わせに正解はありません。いろいろな料理とビールを試しながら、自分好みのペアリングを見つけるのも楽しみのひとつです。
ビール×和食の奥深い魅力
今回は、ビールと和食が合う理由や種類別のおすすめペアリング、楽しむためのポイントについてご紹介しました。
多種多様な味わいを持つビールと、旨味を大切にする繊細な味付けの和食。この2つを組み合わせることで、双方の味わいに奥行きが生まれ、新しい魅力が生まれます。
ビールの種類や温度、器選びにも一工夫して、さまざまな組み合わせを楽しんでみてください。