記録的な猛暑が続く今年の夏。晩酌でもさっぱり冷たいお酒でリフレッシュしたくなりますよね。そこでおすすめなのが「みぞれ酒」です。日本酒をいつもとちょっと違った味わいで楽しめる、夏にぴったりな飲み方です。今回は、みぞれ酒とは何か、おいしい作り方やアレンジについてご紹介します。
みぞれ酒とは
みぞれ酒とは、「過冷却」と呼ばれる現象を利用して日本酒をシャーベット状にして楽しむ飲み方です。通常、冷凍庫に液体を入れるとカチカチに凍ります。過冷却とは、ゆっくり時間をかけて均一に冷やされることで、結晶化が起きず、本来は凍る温度に達しても液体の状態が維持される現象を指します。過冷却状態の液体は、振動などの衝撃が加わることで一気に結晶化が進んで凍ります。みぞれ酒は、じっくり冷やした日本酒を冷えたグラスやお猪口などに一気に注ぐことでシャーベット状にします。
ふんわりとした食感のシャーベット部分と、氷でキリっと冷やされた液体部分をダブルで味わえるのがみぞれ酒の魅力です。シャーベット部分は口の中でサッと溶けて、一気に日本酒の香りと味わいが広がります。日本酒自体をシャーベットにしているため、ロックとは違い時間が経っても味が薄くなることはありません。最後の一口まで日本酒の味わいをしっかりと楽しめます。見た目にも涼しげで、まさに夏ならではの日本酒の楽しみ方です。
みぞれ酒の作り方
ここでは、みぞれ酒の簡単な作り方をご紹介します。
まず、冷蔵庫で冷やしておいた日本酒を容器に入れます。日本酒の瓶ごといきなり冷凍庫に入れると、液体が膨張して瓶が破損する恐れがあり危険です。必ず容器に移してから冷やしましょう。
容器を冷凍庫に入れて、約90分ほどかけてじっくり冷やします。冷凍庫で冷やす時間は、家庭の冷蔵庫の温度や状態によっても異なります。様子を見ながら、凍らないように調整が必要です。このとき、日本酒を入れるグラスやお猪口も一緒に冷凍庫で冷やしておくと良いでしょう。
過冷却状態になったら、グラスやお猪口に少し高い位置から一気に日本酒を注ぎます。シャーベット状になったら、みぞれ酒の完成です。
みぞれ酒のおいしいアレンジ
そのまま飲んでも十分おいしいみぞれ酒ですが、たまにはちょっと違う雰囲気で楽しみたいですよね。ここでは、みぞれ酒のアレンジについてご紹介します。
まずおすすめなのが、みぞれ酒と柑橘系の組み合わせ。みぞれ酒にレモンを絞り、上にレモンスライスをトッピングすると、より爽やかな一杯になります。すっきりとした日本酒の味わいをレモンの酸味が包み込み、日本酒初心者でも飲みやすくなります。ライムやシークワーサージュースを少し絞ってソルティドッグ風にするのもおすすめです。
お好みのジュースや果実酒をそっと注いで、二層のカクテル風にしてみるのも良いでしょう。見た目も華やかになり、パーティー気分で楽しめます。
夏にぴったりな日本酒のお楽しみ
今回は、みぞれ酒とは何か、おいしい作り方やアレンジについてご紹介しました。「過冷却現象」と聞くとなんだか難しそうなイメージですが、ご家庭の冷凍庫に合った冷凍時間さえ見つかれば案外簡単にできます。
京仕込キンシ正宗では、創醸天明元年(1781年)より京都の水と酒米、そして麹造りにとことんこだわった酒造りを続けています。ぜひ大人の自由研究をする気分で、みぞれ酒にして楽しんでみてください。