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お家飲みをもっとおいしく楽しむ!日本酒の「出汁割り」とは?


何も割らずにストレートのまま飲むイメージが強い日本酒ですが、最近はソーダやジュースで割ってカクテルのように飲むなど、さまざまな楽しみ方が広まりつつあります。中でも日本人の心身に染み渡るおすすめの飲み方が「出汁割り」。古くから日本人が親しんできた食文化の組み合わせは、相性抜群です。今回は、出汁割りにおすすめの日本酒や出汁、おいしい作り方をご紹介します。

出汁割りとは

出汁割りとは、おでんの出汁や鰹節でとったお出汁などで日本酒を割ったものです。もとは東京北区の赤羽にある「丸健水産」というおでん屋さんが発祥と言われています。カップの日本酒を半分近く残し、そこにおでんの出汁を入れて飲むスタイルで人気が高まりました。好みのお出汁と日本酒というシンプルな材料でできるため、宅飲みにも手軽に楽しめます。

人が舌で感じる味は「甘味」、「酸味」、「苦味」、「旨味」、「塩味」の大きく5つに分類され、これらをまとめて「五味」と呼ばれます。日本酒は五味のうち、甘味、旨味、渋味、苦味を味わえる飲み物です。出汁割りは唯一持ち合わせていない塩味をお出汁で補うことで五味がそろい、旨味や甘味をより引き出して深い味わいを楽しめます。

旨味の主成分としてはグルタミン酸やイノシン酸、グアニル酸などが知られていますが、食材によって含まれる旨味成分は異なります。日本酒や昆布や野菜など植物由来のものにはグルタミン酸、鰹節や鶏など肉類にはイノシン酸、干しシイタケや海苔などにはイノシン酸が含まれます。日本酒とお出汁を合わせることで、異なる旨味成分の相乗効果が生まれて旨味が格段にアップします。

出汁割りにおすすめの日本酒や出汁は?

出汁割りとして楽しむには、日本酒は旨味がしっかりある純米酒や、さっぱりとしてクセが強くない本醸造酒がおすすめです。また出汁割りは温かい状態で飲むことが多いため、燗にしたときに酸度が出過ぎない味わいのタイプの日本酒が出汁割りに向いています。

お出汁は、家庭で気軽に作るなら出汁パックや顆粒だしでも十分おいしく楽しめます。時間はかかるものの、鯛や鰹節、昆布など素材から丁寧にとったお出汁を使った出汁割りは格別です。特別な日やお客さんを招いたときの宅飲みに良いでしょう。

おでんやお鍋で使ったお出汁の残りを使うのもおすすめです。複数の具材から染み出した出汁が旨味の相乗効果をより高めて、味わい深く仕上がります。

出汁割りのおいしい作り方

家庭で作る出汁割りは、自分好みにアレンジしやすいのがメリットです。ここでは、出汁割りの基本的な作り方をご紹介します。組み合わせや割合を調整しながら、自分の好みに合った出汁割りを見つけましょう。

【作り方】
1.鰹節や昆布、出汁パックなどからお出汁を用意し、40~50度に温めます。
2.日本酒を湯煎で温めます。電子レンジで温めてもOKですが、電子レンジは温度が一気に上がりやすく、温度のムラができやすいため注意が必要です。徳利の口をラップで覆い、20秒ごろに取り出して器を軽く揺らして温度のムラをなくしましょう。
3.日本酒と出汁を1:3の割合で混ぜます。日本酒の風味をより楽しむなら日本酒とお出汁に割合を1:2にすると良いでしょう。

最後にお好みで七味唐辛子や山椒、三つ葉などを加えると、塩味や旨味が引き立つアクセントになります。

五味を味わう出汁割りを自宅で楽しもう

今回は、出汁割りにおすすめの日本酒や出汁、おいしい作り方をご紹介しました。出汁割りは、日本食のおいしさの要である「旨味」をたっぷりと楽しめる飲み方です。五味が揃うことで、いつもの日本酒がより味わい深くなります。まったりと心身に染み渡る温かい出汁割りは、寒い冬はもちろん、クーラーで身体が冷えがちな夏にもぴったりです。

京仕込キンシ正宗では、創醸天明元年(1781年)より京都の水と酒米、そして麹造りにとことんこだわった酒造りを続けています。ぜひお出汁とともに、出汁割りを楽しんでみてください。