プチ贅沢したい日や特別なお祝いに楽しむ寿司。寿司をつまみながら日本酒を味わいのは、まさに至高の贅沢です。
どちらもお米を使って作られた寿司と日本酒は、相性抜群。互いの旨みや味わいを引き出し、相乗効果が期待できます。
とはいえ、寿司のネタにも日本酒にもさまざまな種類があるため、より相性の良い組み合わせを選んで楽しみたいもの。そこで今回は、寿司に合う日本酒の選び方についてご紹介します。
タイやヒラメなどの白身魚
タイやヒラメなど淡白な白身魚には、オールマイティな本醸造酒はもちろん、スッキリとした淡麗辛口の吟醸酒が合います。
穏やかな香りと軽い味わいで、白身魚の味わいを引き立てます。フルーティな味わいの吟醸酒や大吟醸酒もおすすめです。
マグロやカツオなどの赤身魚
マグロやカツオなどの赤身魚は、脂がのっていて旨味が強い特徴があります。
そのため赤身に負けず米の旨みが強い純米酒との相性が抜群です。スッキリした飲み口の日本酒を合わせると、赤身ならではの旨味とのバランスが崩れてしまいます。
マグロのトロやサーモンなど脂身の多いネタ
マグロのトロやサーモンなどの脂身の多いネタには、脂の甘みを邪魔せず味わえる本醸造酒などがおすすめです。
本醸造酒はオールマイティといえるお酒で、さまざまなネタとよく合います。また辛口の吟醸や大吟醸を合わせてもさっぱりと味わえます。
イクラなどの魚卵
魚卵、特にイクラは濃厚な味わいのため、合わせる日本酒もよく選ぶ必要があります。甘口の中でも厚みのある味わいを持つ特別純米酒や純米酒が合う傾向にあります。
銘柄によっては辛口の日本酒が合うこともあり、キリッとした酸味を持つものを選ぶのがコツです。
タレを使ったネタや煮魚
タレを使ったネタや煮魚などこってりした味わいのものには、甘口の純米酒がよく合います。米と米麹のみで造られた純米酒は、お米の持つふくよかな甘みと味わいが特徴です。
脂肪分が多く含まれた濃いネタの味にも負けず、旨みを引き立てます。詰めだれが甘辛の場合は、辛口のお酒と共に食するのもおすすめです。
お米の発酵作用で作る「なれずし」
サバのなれずしなどに代表される「なれずし」は、ごはんの発酵作用を利用した保存食です。
ごはんを発行させて作るという点では日本酒とも共通点があり、なれずし作りに取り組む蔵元もあるほどです。やや甘めの芳醇タイプの日本酒が合う傾向にあります。
こぼれ話:なぜなれずしを「関西寿司」と呼ぶか
なれずしは別名「関西寿司」と呼ばれ、今でも和歌山県や三重県が名産地として知られます。この名称の由来ですが、実は寿司はもともと「ご飯の上に魚をのせて発酵させた食べ物」と考えられていました。つまり、握りずしが後からできたもので、なれずしが寿司の元祖だと言えるのです。
現在主流の握り寿司はかつて「早寿司」と呼ばれており、江戸時代中期に生まれたものです。いわば、発酵することで生まれる酸っぱい味わいを、初めから酢を混ぜてつくり出したものともいえるのです [1] 。日本酒好きならば、ぜひ一度はなれずしを試してみましょう。
寿司と日本酒のマッチングを楽しもう
今回は、寿司に合う日本酒の選び方についてご紹介しました。寿司も日本酒も、はるか昔から日本人が親しんできた食文化。より相性の良い組み合わせで、双方のおいしさを挽き立てましょう。
特別な日やお祝い事に、とっておきの日本酒と寿司で家飲みを楽しんでみてください。
[1] 農林水産省,「寿司」,available at https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gaisyoku/pamphlet/pdf/26-29_japanese.pdf